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私が忍足侑士という存在を知ったのは、ちょうどこの氷帝学園に入学した中学一年生の初めの頃だった。
その当時の私は、父の転勤に合わせて家族で大阪から上京してきたばかりで、まだこの東京という土地に馴染めずに居た。
クラスでは幼稚舎組が多いらしく、既にそれぞれの輪が完成しているのを見て、これからの学園生活に不安を感じていた。
そんな時、私に話しかけてくれたのは、隣の席の女の子だった。
「ねぇ、Aさんは、大阪から来たの？」
ふんわり可愛い顔立ち。真っ白な肌。真っ直ぐにすらりと伸びた手足。ツヤツヤした長い黒髪。柔らかい話し方と、品の良い仕草。そう、この子こそが鳴島百香だった。
「うん。お父さんの転勤で、こっちに来てん」
「そうなんだ。Aさんと同じように喋る男の子が、わたし達の学年に居るの、知ってる？ その子も中学から氷帝に来たみたいだよ」
「へぇー、知らんだ。何組の子なん？」
「何組かは分からないけれど、テニスが凄く上手で、テニス部に入ったんだって。ねぇ、今日、一緒に見に行こうよ」
この東京の学校で、しかも同じ学年に、自分と同じ関西弁を使う人が居ることに驚き、見てみたいと思ったので、その誘いに乗ることにした。
放課後テニスコートに行ってみると、物凄い数の女子のギャラリーが周りに集まっていた。
分かり切っているが、この人たちの目的は、入学式当初から目立っていた氷帝学園の王様である跡部景吾だ。
王様が次々と強い球を打つ度、ギャラリーは沸いていた。
「あの人だよ」
鳴島さんがテニスコートのベンチ付近を指さす。
そこに居たのが、丸い眼鏡をかけて周りの一年生より少し背の高い、忍足侑士だった。
「あの眼鏡の人？」
「うん、そう。少し髪の毛が長めの」
第一印象は胡散臭そうな男子、だった。
明るい雰囲気は無く、影を漂わせ、何を考えているのか分からない感じの人。
忍足という人を詳しく知らないから、勝手なことは言えないのだが、何にしても、“私はこの人とは合いそうにない”と思った。
そこから、忍足侑士と関わることはなく、接点も無いし、クラスもずっと違ったので、それきりだったが、高校二年生で初めて同じクラスになった。
そして初めて個人的に交わした言葉が、彼の「なあ、Aさんの好きな人って、宍戸やんな」だった。
人間関係の始まり方として、そうそう無い形だ。
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megumi(プロフ) - トモキさん» コメント、ありがとうございます！感情移入して頂けて嬉しいです。最近多忙を極めるため、なかなか更新出来てませんが、必ず最後まで書き続けます。 (8月28日 19時) (
レス) id: e6a6c10801 (このIDを非表示/違反報告)
トモキ - 「結局のところ、これがしたいというよりも、隣に好きな人が居るということが一番大切なことだと気付く。」という言葉からすごく夢主さんの気持ちが伝わりとても感情移入してしまいました。続き楽しみに待ってます。 (8月20日 22時) (レス) @page16 id: be68aea6b3 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 桃花さん» 応援メッセージ、ありがとうございます！とても励みになります(◡ ω ◡)頑張って執筆します♪ (2023年4月20日 21時) (レス) id: c1e2bcbffd (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 更新待ってます！(*＾▽＾*) (2023年4月20日 16時) (レス) @page1 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2021年10月1日 17時
