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「どういうこと? 話についていかれへんねんけど。おかしない? なんで忍足君と私が付き合うん?」

「あぁ、すまん。詳しく話してへんかったな。俺が考え取った宍戸らを振り向かす作戦ちゅうのが、俺らが嘘で付き合うってことやってん」

 私はしばらくパニックになっていたが、忍足君はいたって平生通りの態度で、そして彼の考えというのは、つまりはこういうことだった。


 忍足君と私が偽りの恋人関係になる。恐らく宍戸君は、今まで近くに居た異性の友達が他の誰かと付き合うことにより、ちょっとした違和感を感じるだろう。そして上手くいけば、後にその違和感が喪失感となり、心変わりに転じるかもしれない。


 恋愛ドラマや漫画で見聞きするような話を実際に持ち掛けられる日が来るなんて、思いもよらなかった。

「ほんまに、そんな上手くいくかな? 私と忍足君が付き合ったところで、宍戸君には、素直におめでとうって祝われる気ィするわ」
「やってみな分からへんで?」
「……私らが付き()うとんのが嘘やってこと、すぐバレると思うけど」
「大丈夫やって。鳴島は分からんけど、宍戸に関しては絶対バレへんわ」

 そのあまりにも自信満々な言い方が可笑しくて、私は小さく吹き出してしまった。

「なんでそんなハッキリ言い切れんの」

 そう聞き返すと、彼は慰めるような声色で答える。

「Aさんの想いに全く気ィついてへんやん。あんなに近い距離に()んのに、これっぽっちも気付かへん。知らん振りとちゃって、ほんまに知らんから、今日みたいに自分に恋愛相談なんか出来んねやろ?」

 鼻の奥がツンとした。何か一言でも話そうとすれば途端に涙がこぼれ落ちそうで、すぐには何も言えなかった。
 黙りこくる私を、忍足君は柔らかい眼差しで見ていた。


 次に口を開いたのはやはり忍足君だった。

「どこ行きたい?」

 急な質問の意を汲み取れずに戸惑うと、彼が継ぎ足した。

「デート。恋人なんやで、デートするに決まってるやん。リクエスト無いん?」
「リクエスト?」

 漸く声を出した私だが、思考は追いついていない。

「一つや二つあるやろ? 理想のデート」
「……考えたことない」
「なんや、そうなん? 今考えてみ」

 忍足君のペースに流されている感じが否めないが、私は自分の理想について初めて考えてみた。

 軽く目を閉じて想像する。
 何がしたいだろう。もし、隣に愛してやまない人が居たら。もしそれが宍戸君だったら。

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設定タグ:テニスの王子様 , 忍足侑士 , 氷帝   
作品ジャンル:アニメ
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megumi(プロフ) - トモキさん» コメント、ありがとうございます!感情移入して頂けて嬉しいです。最近多忙を極めるため、なかなか更新出来てませんが、必ず最後まで書き続けます。 (8月28日 19時) (レス) id: e6a6c10801 (このIDを非表示/違反報告)
トモキ - 「結局のところ、これがしたいというよりも、隣に好きな人が居るということが一番大切なことだと気付く。」という言葉からすごく夢主さんの気持ちが伝わりとても感情移入してしまいました。続き楽しみに待ってます。 (8月20日 22時) (レス) @page16 id: be68aea6b3 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 桃花さん» 応援メッセージ、ありがとうございます!とても励みになります(⁠◡⁠ ⁠ω⁠ ⁠◡⁠)頑張って執筆します♪ (2023年4月20日 21時) (レス) id: c1e2bcbffd (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 更新待ってます!(*^▽^*) (2023年4月20日 16時) (レス) @page1 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:megumi | 作成日時:2021年10月1日 17時

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