少年の揺らめき ページ48
中庭でAの恋愛について騒ぐ少女達の姿を、上の階の少年の目が捉える。
「あ、A」
ほとんど無意識に謙也は彼女の名を呟いた。
向かい合い共に昼食を摂っていた白石は、友人の視線の先を一瞥してから、未だ中庭をぼうっと見下ろしている彼に、仕掛けるように問いかけた。
「前から思てたけど、そない仲ええの？」
白石の声で突然我に返った謙也は、心臓が飛び出る程ドキリとして勢いよく目を教室に戻した。そうして、どぎまぎしながら支離滅裂な答えをする。
視線を泳がせたり、考え込んだり、かと思えば明るく目を見開いたりして、まるで独り言のように話す謙也を、白石は半ば呆れたように苦笑いで眺めた。
「お、おお、まあな、ええんちゃうか？ 映画部一緒で、何回か朝会うて……あと何やったっけ。ほんでも、イグアナも青汁も、超能力……ちゃうしな。ちゅうことは……きっと、絶対、仲ええで！」
「はぁ？ 何やよう知らんけど、まあ、仲ええってことなんやな」
「おう」
Aと仲が良い。ただそれを認めただけなのに、自然と口角が上がる。理由は自覚せずとも謙也は嬉しさを感じていた。だが意識下には、歯がゆさがくすぶっていた。
「小石川より？」
ふいに、白石に鋭い目で聞かれ、謙也の顔が真面目になる。
「小石川……あー、多分、何もあらへんで。普通の友達やろ。ただ……」
「ただ？」
「何もあらへん」
謙也の頭に、いつか電車内で見た二人の光景が蘇った。瞳に雲がかかる。
その様子を白石は見逃さなかった。
「Aさんのこと好きなん？」
「はあ！？ な、何で、それは小石川やろ！」
「やかましいわ！ 大きい声出すな」
「自分が変なこと言うからやろ！」
「図星やろ」
「ほんまにちゃう」
謙也は再度中庭を見下ろした後、Aに触れた手を握ったり開いたりした。
部長である白石はその動作に疑問を投げる。
「手、どうかしたん？」
「いや」
「気ィつけてくれな。全国までまだ長いんやから」
「おう」
上の空な返事をして、貰った青汁のパックを一口吸った謙也は目を大きくした。
「美味い」
「いつもと同じやん」
「今日は特別美味いねん」
「ふーん」
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じゃこ(プロフ) - お返事ありがとうございます！！もっと言葉にできれば良かったのですが、、そう言ってもらえて嬉しいです。はい、もちろんです！楽しみにしています！！！！陰ながら応援させていただきます。 (2020年4月24日 23時) (
レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - じゃこさん» こちらこそ、いつもお読み頂きありがとうございます！加えてとっても素敵なコメントに感激いたしました！未熟な私ですが、じゃこさんに幸せを与えることができたなんて…作者冥利につきます。これからも更新頑張らせて頂きますので、お付き合い願えたら嬉しいです。 (2020年4月24日 9時) (レス) id: 5c141d606b (このIDを非表示/違反報告)
じゃこ(プロフ) - 更新いつもありがとうございます！上手く言葉にできないのですが、とても綺麗な文で読むと幸せな気持ちになります。四天宝寺のこと夢主ちゃんが織りなす話を楽しみにしてますこれからも頑張って下さい！…初コメ失礼しました。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2020年2月2日 21時
