感動、そして素直 ページ36
すぐにも倒れそうな体を鞭打って何とか一人で家に到着したものの、体力は底をついてリビングのソファに雪崩れ込むように倒れた。朝の娘の様子を一日中気にかけていた母親は、帰宅した際、荷物を投げ出して寝込む娘の姿に軽く悲鳴を上げた。
彼女としては両親を気遣い頑固に自力で帰宅したはずだったが、その無茶な判断がかえって両親の心配を煽ってしまいこっぴどく叱られた。Aは怒られて少ししゅんとしたが、その直後言葉にできない程の感動が押し寄せて胸がいっぱいになった。
この世界に来る前、大学生から社会人へと一人暮らしが長らく続いていた。その間、体調を崩すことは幾度となくあったし、精神的に疲れきったことも一度や二度あった。でも勿論のことマンションには一人であるし、白石に指摘されたように辛さを抑え込む癖のある彼女は、両親にも恋人や友達にも言わずにただ辛さと寂しさに耐えた。
だから、辛い時に誰かが真剣に心配してくれる温かさは、本当に久しぶりだった。学校での彼ら三人の優しさに加えて親からの愛情、そして一人ぼっちとは違うという幸せが嬉しくて仕方なく、Aは堪えきれずに涙を絶え間なく流した。
それから一晩明けて金曜日になった。Aはまだ熱にうなされていた。体温は上昇し、39.5℃を記録している。
母は欠勤しようかと悩んだが、Aはそれを断った。それはいつもの単なる強がりや気遣いではなく、素直な気持ちからだった。日中、家で一人になっても気持ちが孤独ではなく、体は確かに苦しいが心は温かく幸せだったからである。
ただ一つ、素直になったからこそ、こんなお願いをした。
「なるべく早う帰ってきて」
その言動はAにとって大きな変化で、白石から与えられたものであった。
お昼過ぎになり、貼り付くような喉の渇きで目が覚めた。重苦しい瞼を無理に上げると、天井はぐにゃぐにゃに見える。
水と薬の為に力を振り絞ってキッチンに向かうと、鍋にスープが作ってあり、冷蔵庫には何個かプリンやぜりーが入っていた。それを見ただけで、嬉しさにまた泣いた。
それから栄養を摂り部屋に戻ると、スマートフォンのランプの点滅が目に入った。
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じゃこ(プロフ) - お返事ありがとうございます！！もっと言葉にできれば良かったのですが、、そう言ってもらえて嬉しいです。はい、もちろんです！楽しみにしています！！！！陰ながら応援させていただきます。 (2020年4月24日 23時) (
レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - じゃこさん» こちらこそ、いつもお読み頂きありがとうございます！加えてとっても素敵なコメントに感激いたしました！未熟な私ですが、じゃこさんに幸せを与えることができたなんて…作者冥利につきます。これからも更新頑張らせて頂きますので、お付き合い願えたら嬉しいです。 (2020年4月24日 9時) (レス) id: 5c141d606b (このIDを非表示/違反報告)
じゃこ(プロフ) - 更新いつもありがとうございます！上手く言葉にできないのですが、とても綺麗な文で読むと幸せな気持ちになります。四天宝寺のこと夢主ちゃんが織りなす話を楽しみにしてますこれからも頑張って下さい！…初コメ失礼しました。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2020年2月2日 21時
