白石の笑み ページ4
小石川の方を顔を向けていたAは、色気を含んだ声の聞こえた斜め後ろを振り返る。
そこは保健室の外に面した入り口のテラス部分で、その上に室内から出て来たのであろう白石が引き戸に手をかけながら立っていた。
「白石くん！」
その花壇が保健室の前だとか、白石が居る曜日だとか、そんなこと全く意識になかったAは心底驚いたし、初めて会った時に「また保健室に」と誘われてから一度も行っていなかったため若干気まずかった。
そんなAとは対照的に白石は整った笑顔で涼しく佇んでいる。
「俺が育ててんねん」
「何で毒草？」
学校で育てていることは予想外だったが、Aは白石が毒草に興味を持っているのは知っている。しかし白々しく驚くことは彼女の性に合わなかったため、当たり障りなくそして素直な疑問をぶつけてみた。
「うーん、趣味やろか」
白石は少し考える素振りを見せて答える。この人物は動作一つ一つが様になる、とAは彼を眺めた。
同時に毒草が趣味というのはどういうことだろうと思った。集めるに至った理由が気になるし、普通の花ではなくあえて毒を持つものを好むのも、深い意味があるように思えてならなかった。
「何で好きなん？」
やや遠慮がちにそう聞いてみる。すると白石は真っ直ぐ彼女を見据えた後に口を開いた。
「それは秘密やな」
その笑みは妖艶な光が瞳に宿っていて、Aはその眼差しにゾクリとした感覚を覚えた。
「へ、へぇ」
何故か捕らえられたかのように体が動かない。そんなAを知ってか知らずか、白石は表情を戻し「それはそうとAさん久しぶりやな」と話題を変えた。
「あ、うん、せやね」
その話題の気まずさとさっきの感覚で、ぎこちない返事しか出来なかった。
「毒草のことも興味あれば聞かしたるで」
「ありがとう」
とりあえずそう返事をした。
そしてそんな二人の会話を小石川が破った。
「危ないもん学校で育てとんなや」
その声にAはハッと青くなった。
「これって……いろたら死ぬ？」
「そこまで危なないわ。洗えば大丈夫やで」
「良かったー。実はさっきちょっと手が当たってもうてん」
声を出して笑う白石の言葉にAは胸を撫で下ろした。
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じゃこ(プロフ) - お返事ありがとうございます！！もっと言葉にできれば良かったのですが、、そう言ってもらえて嬉しいです。はい、もちろんです！楽しみにしています！！！！陰ながら応援させていただきます。 (2020年4月24日 23時) (
レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - じゃこさん» こちらこそ、いつもお読み頂きありがとうございます！加えてとっても素敵なコメントに感激いたしました！未熟な私ですが、じゃこさんに幸せを与えることができたなんて…作者冥利につきます。これからも更新頑張らせて頂きますので、お付き合い願えたら嬉しいです。 (2020年4月24日 9時) (レス) id: 5c141d606b (このIDを非表示/違反報告)
じゃこ(プロフ) - 更新いつもありがとうございます！上手く言葉にできないのですが、とても綺麗な文で読むと幸せな気持ちになります。四天宝寺のこと夢主ちゃんが織りなす話を楽しみにしてますこれからも頑張って下さい！…初コメ失礼しました。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2020年2月2日 21時
