ふらふら ページ30
振り向く小さな動作すら億劫になるくらい体が重たい。のそのそと首を横に向け誰か確認しようとすると、特定する前に肩を叩いた人物の小石川が声を発した。だが、この声を聞く前からそれが彼であるとAは勘付いていた。
「体調悪いんちゃう？」
「ううん、たぶん昨日よく眠れへんかっただけやよ」
頭痛も出始め話すことも辛くなってきた。心配してくれるのは有難いけれど早く寝かせて欲しいという気持ちから、Aの返事は少し素っ気なくなった。申し訳ないと思いつつそのまま伏せようとするが、小石川がそれを許さなかった。
「寝不足のせいっちゃうやろ」と何を見て確信しているのか知らないがとにかくそう言って、半ば強引に保健室に促された。
階段を下りる足元がAの目には歪んで見える。おぼつかない足取りではなかなか進まない。そんな中、ぼんやりする頭の片隅で彼女はあることを思い出し急に歩みを止めた。
何かあれば支えられるようにとすぐ隣で付き添っていた小石川はそんな様子を心配する。するとAはちょっと幼くぐずるように言った。
「やっぱし保健室行きたない」
彼女が思い出していたのは白石のことだった。運悪く今日は木曜日のため、昼休みの今行けばほぼ確実に彼が居る。会いたくない。
小石川はこの時、彼女が拒むのは強がっているからだと思っていた。
「そうも言うとれへんやろ。ふらふらやし」
ただ客観的に見たAの様子は明らかに授業を受けられる状態ではないので、彼は優しく窘めて彼女を歩かせた。
保健室の戸を開けると、案の定そこには白石が居た。肩のストレッチをしていた彼は開いた戸の方を向き直り、そこに居た人物に驚いて駆け寄ってきた。
「あれ……って、めっちゃしんどそうやん！ とりあえずベッドに」
会ってしまったのなら仕方ない。それにAの体調は悪化していて、不安とかそういう気持ちを感じる余裕も無かった。
無機質で白いベッドに言われた通り横になる。休息を求めていた体は素直に沈んだ。少しして渡された体温計が鳴り、小窓には『38.7℃』と表示されていた。
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じゃこ(プロフ) - お返事ありがとうございます！！もっと言葉にできれば良かったのですが、、そう言ってもらえて嬉しいです。はい、もちろんです！楽しみにしています！！！！陰ながら応援させていただきます。 (2020年4月24日 23時) (
レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - じゃこさん» こちらこそ、いつもお読み頂きありがとうございます！加えてとっても素敵なコメントに感激いたしました！未熟な私ですが、じゃこさんに幸せを与えることができたなんて…作者冥利につきます。これからも更新頑張らせて頂きますので、お付き合い願えたら嬉しいです。 (2020年4月24日 9時) (レス) id: 5c141d606b (このIDを非表示/違反報告)
じゃこ(プロフ) - 更新いつもありがとうございます！上手く言葉にできないのですが、とても綺麗な文で読むと幸せな気持ちになります。四天宝寺のこと夢主ちゃんが織りなす話を楽しみにしてますこれからも頑張って下さい！…初コメ失礼しました。 (2020年4月24日 0時) (レス) id: d1fadf4aa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2020年2月2日 21時
