輝きの面影 ページ46
-恵美side-
少しずつ私の知らなかった夫が見えてくる。
彼女から語られる夫に、懐かしい面影が垣間見えた。
「広樹くん……」
あの輝きが失われた日以来、口に出さなかった呼び名。
私はあの時からずっと彼のことを"夫"、"主人"、"あなた"、"広樹さん"、そう呼んでいた。
幸せだった恋人時代の呼び方は出来なかった。きらめいた日々を思い出して辛いから。そう呼んでも、返ってくる返事は生気のない冷たいものだから。
でももしかすると、"広樹くん"はずっと夫の中に居たのかもしれない。
「ですから奥さん……彼の愛に気付いてあげてください。あなた方は本当はとても素敵な夫婦のはずなんです」
これは必然なのだろうか、あの女性のみならず、その娘にも救われるなんて。
気付けばこの親子は容姿だけでなく、声も、雰囲気も、陰りを帯びた表情も、仕草一つでさえ似ている。
「私が離れても、彼の笑顔はもう消えません。きっと、私は見たことのない、奥さんだけが知っている綺麗な笑顔が戻ると思います」
そして……その涙を詰め込んだ笑顔も。
私は、彼の何を見ていたのだろう。一番の理解者で居るつもりで、一番彼を愛しているつもりで、実は何も分かっていなかった。
彼女は本当に彼を愛しているのだろう。だから、私にこんなことが言えるのだ。
「私は、彼に一度も愛されていないんです」
そんな顔をしないで欲しい。あなたの涙は見たくない。
「……広樹くんはあなたを愛していたと思うわ」
どんなにあなたが否定しても、彼の微笑みを僅かであっても連れ戻したのはあなた自身。それはあなたが彼に愛された証拠。例えたった一度だったとしても、彼から愛された事実はある。
「妻の私が言うんですから、それは確かですよ。だから、彼から愛を受け取ったことを認めてあげて欲しい。あなたが別れるとしても、それだけは忘れないで」
「……はい。ごめんなさい、私、二人を邪魔してしまって」
私はたまらず彼女の隣へ行き、ぽろぽろとビーズのような涙を落とす体を抱き締めた。
気付けば、胸の中には声をあげて泣く女の子が居た。
「私……あなたのお母さんを知っているわ」
びくりと反応した肩をさらに強く抱いた。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
