桃色 18輪目 丸井side ページ19
-丸井side-
強引になり過ぎたかもしれないと後悔していた。けれど、昨日は必死だったから、ああいう行動をとるしか自分には選択肢が無かった。
Aが"私なんか"という度に募る苛立ちと、そんな言葉を使って曖昧にフラれることの悔しさが抑えきれなかった。
そしてもし本当にそんな理由で俺の想いに応えられないと言うのなら、それはAが伝えたい気持ちは俺と同じなのかもしれないという期待があった。
だからどうしても、昨日はあのままAを帰したくなかった。でも結局、Aの返事は最後まで聞けなかった。ただ、Aが口を開いた時に急に臆病になって、あのまま続きを聞ける程の度胸は残っていなかったため、雨に助けられたと思う。
家に帰ってからずっと、自分の無鉄砲な行動の数々が恥ずかしくなって落ち着かず、家族にも不審がられた。
ベッドに入って寝ようとすると、Aを抱き締めた時の感覚や表情の一つ一つが鮮明に蘇って、全くと言っていいほど眠れなかった。体に熱がこもって、夏の季節のせいもあって更に暑くて仕方なかった。
今までに何度かAを抱き締めた際も、同じようなことがあったが、今夜は特にあいつの体温が腕に残っていた。
今朝、いつも通りAと登校したけれど、やはり何処かぎこちなくて、ジャッカルには悪いことをしたと思う。
放課後になって、虫の知らせだったのか、俺は何故かAの教室の前を通りかけて、幸村君がAの肩に手を置いているところを見てしまった。幸村君の行動に腹が立ったけれど、何も言うことは出来なくて、幸村君と話すあいつの顔を見たくなくて逃げ出した。
帰り道にAが神妙な顔をしているのが気になって、どうしたのか聞いても誤魔化されるので、その陰に幸村君の姿が浮かんでしまった。
やっぱり俺のことは好きになってくれないのか。
Aの前では何でもないような顔をして振る舞い、Aが家に入るのを見届けてから肩を落とした。
何かを堪える為に新しいガムを噛んだ直後に、大好きな人が俺を呼び止める声が聞こえて振り向いた。
話があると言われて、嫌な汗が流れる。きっと笑顔は不自然だろう。もう返事が分かりきっていて、それが望まないものだとしても受け入れるしかないのに、割り切れない。
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megumi(プロフ) - かるぴんさん» コメントありがとうございます！登場人物達に寄り添ってお読み頂き、とても嬉しいです。沢山のお褒めの言葉と、作品を好いて下さり、ありがとうございます。これからも、執筆活動に勤しんでいきたいと思います！ (2021年3月5日 18時) (
レス) id: ba823ca860 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 他の作品と比べるのは野暮かもしれませんが、今まで読んだどの小説よりも心理描写が丁寧で登場人物に共感しまくりでした。きゅんきゅんしたり苦しくなったり感情の変化が忙しかったです。2つのエンドを見れたのも嬉しかったです。何回も読み直させていただきます。 (2021年3月5日 15時) (レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - YUEMINさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて、作者はとても嬉しいです(*^▽^*)応援に応えられるよう、頑張りたいと思います (2019年10月21日 18時) (レス) id: d64ff74b54 (このIDを非表示/違反報告)
YUEMIN(プロフ) - 完結おめでとうございます！楽しく読ませていただきました!!次回作も頑張ってください。応援してます。 (2019年10月21日 18時) (レス) id: 1af2bac581 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - ユッキーさん» いつも応援して下さり、ありがとうごさいました！沢山感じて頂き、嬉しく思います(^^)恋という感情は不思議ですよね。この作品を素敵と言って頂き、感謝です！ (2019年10月14日 7時) (レス) id: b41fbb72a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年7月11日 22時
