高校3年排球部、東京から来た宮城出身セッターです。

第20戦：HR ページ23

「ほら、片山！席つけー」

「はーい」

三年四組の担任が入ってきた。HRが始まる。

「さっき片山も言っていたことだが……今日は、お前達に編入生を紹介する。」

ザワッと一斉に室内は騒がしくなった。

久々に片山がガセネタを話さなかったことに、クラス中が驚いていr「信用無さすぎだろ俺！」

「………んー、まぁ、知ってる奴は知ってるかもしれん。その手の分野では結構な有名人だからな。」

澤村と菅原は、片山の話と担任の話を聞き脳裏にあの端正な顔立ちの東京から来た青年を浮かべた。

が、すぐにその顔と、淡い期待を打ち消した。



「＿＿＿＿＿……まさか、アイツがここにいるわけ無いしな。」

「………うん。残念だけどな……」

一時でも共にプレーした、順応力が高く不思議な魅力を秘めた美しい青年。

だが彼はあくまでもここへ引っ越しの手伝いに来た身。

もうすでに東京へ戻り、全国で五本の指に入るスパイカー達と共にバレーのことを考えているのだろう。


「「………………寂しいな。」」


澤村と菅原が顔を見合わせ、苦しそうな顔で小さく言った。



担任から合図をもらった編入生が入ってくる。








窓から入る爽やかな風になびく髪


前を見つめる、宝玉のような瞳


うっすらと笑みを称える形の整った唇


しなやかで細く、背筋の伸びた身体









澤村と菅原は、目を見開く。

ザッと周囲を見渡したあとに彼らと目を合わせる青年。





青年は、笑った。





「虎浜学院高等部から来ました。白川Aです。よろしくお願いします。」

ペコ、と頭を下げ自己紹介をする青年に向かって、女子の声と男子の声が掛けられた。


「イ、イケメン！モデルさんみたい！」

「キャアァアア！カッコいいー！そこら辺の格好いい人と違う！」

「背高い！すっごく綺麗な顔！なんかホントにキラキラしてるみたい！」



「うわぁ、なんか美しいって文字が体言化されたみたいだ……」

「オーラが違う！てか、背高いわりに可愛い系寄りじゃね？」

「……寧ろ女子じゃなくてコイツで良かったって思う自分がいる……」


全力同意！！と、クラス中の男子は全員で内心叫んだ。



フリーズしている澤村と菅原も然り、だ。


いつの間にか菅原の左の空席に座った青年＿＿もといAは、菅原と菅原の通路を挟んで右側に座る澤村に、小さな声で言った。



「これからよろしく、スガ君に大地！」

澤村と菅原は、どうかこれが夢じゃありませんように、と願った。

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