3手が届かないはずの君へ【男性声優】

推しが103人… ページ4

花江Side

Aとの衝突の後、盛大な勘違いをされていたことが分かり、突き放されたりした理由も何となくわかった。

そら、何人も攻略とか言って遊んでるような男追い返したくもなるよ。そんなのクズだもん。


そして、誤解を解き、ずっとずっと伺っていた人生で指を折るほどしかないそれほど緊張するタイミング。


「……あの、今なら格好着くかなって思ったので…言いたいんですけど……！！」


そういった時、さっきまでの頬を染めた顔とは反対にAの焦ったような顔が目に入った。

それでも、この機会を逃したら！


「俺、Aの事す──」
『ごめんなさい！』


”好き”と言おうとした刹那、俺の口がAの手によって塞がれた。

その手は小さくて柔らかい、しかし、そんな愛おしい手は今否定を意味している。


『…私にはまだ…その先を聞く勇気がない…です。』


Aが笑う度、楽しそうに細められる可愛らしい目から今にも涙がこぼれそうになっている。それに、心做しかでも震えていた。


「……それって俺、振られちゃったってこと？」

『あっ…え…と、はい…』


ついにA目からは涙がこぼれた。

この状況で辛いのは俺のはずなのに、なんでAが辛そうに顔を歪めるのだろう。

なんで、自分に言い聞かせるみたいに「ダメだ」と呟くのだろう。


『すみません、今日は帰りますね。ほんとご迷惑お掛けしました。』


そう言って部屋を出て、いつもの安全ピンの着いたリュックを背負って玄関を出ていった。


何も分からなかった。

そういえば俺はAのことを何も知らない。好きになって、推してくれてて、遊んで、それだけでAを知った気になっていた。

君を知るチャンスはもうないのかな？


「…ねぇ、また会ってくれる…？」

そんな声は誰もいない部屋に虚しく響いた。


★☆★☆
とてつもなくもどかしい…っ！早くくっつけ、！！と作者の私でも思います…！！！

でもあくまでも私得の作品なので好きな要素とか詰め込んでます…。もし良ければお付き合い下さい…！

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