3手が届かないはずの君へ【男性声優】

推しが百二人…… ページ3

その手を素直に取り、立たせてもらう。

『…すみません、』




「こっち着いてきて？」


そういうと隣の部屋のゲーム部屋らしき部屋に通される。


そこでパソコンをつけてなにかのアプリをダブルクリックした。



「ほら、このキャラAに似てるでしょ？オタクで、リュック背負ってて、髪型とかも。

こっちの子達は全部終わってるんだ。だからあとこの子だけなんだけど……」



「誤解……解いて貰えたかな…？

もしかしてまだ疑ってる……？」


困ったような不安げな表情を浮かべる推しに狼狽えてしまいそうになる。


……私通常運転だ。


通常運転……ってことは…。



『いえ……！…変な誤解して……ほんとにごめんなさい…』



へんな暗いモヤは消えて、私はまっすぐ花江夏樹さんを見られるようになっていた。



「いや、誤解が溶けて良かった……。ごめんね、嫌な気持ちにさせて。」


『花江さんが謝ることなんにもないですよ…！！私が自意識過剰すぎただけですから』



推しに謝らせてしまった……だめだ今回は全面的に私が悪いんだから…！！


めっちゃ恥ずかしいから！勘違いして勝手に失恋して推しを家から半強制で追い出して落ち込むとかバカなのかって！！！


というか…攻略とかじゃないってことは……私の初恋はどうなるんだ…？


正直「裏切らないよ」のところでまた惚れてた。


いや、あの、必死に伝えようとしてる感じが素敵すぎて初リアルきゅんとしてしまった。



あっ、私の心って素直…！！

やっぱり青春は残酷じゃないよ…！！！



「A……っ」



『はい…？』



.







.



「……あの、今なら格好着くかなって思ったので…言いたいんですけど……！─────」




.

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