ウインター・マジック (ページ4)

今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:4,230 hit

〈４〉ページ4

「はあ、」

足音が遠ざかっていく。 ... やっぱ、無理か。

うずくまっている私の足元がだんだん滲んで見えて、遂には涙が頬を伝った。

『 .. なんで泣いてんだろ、』

頬の涙を拭って立ち上がろうとしたとき、綺麗な革靴が目に入った。

『っえ .. 、』

ふわりとコートを掛けられて、慌てて顔を上げる。

「ふは、何泣いてんの。笑」

『いや、別にっ .. 、てか、なんで、』

「上着取りに行ってただけ。んで、駅まで戻るか、俺に着いてくるかお前はどっちがいいの。」

私と目線を合わせるようにしゃがみながら尋ねてきた。

『 ... ついてく、』

「ん、了解。おいで。」

掛けてもらった上着に手を通しながら先を歩くお兄さんの後ろを着いていく。

『お兄さんはなんで声かけてくれたの。』

「んー、気分。」

『そっか、ありがとう。』

「お礼言えるんじゃん。あと、年上には＂ございます＂な。」

『うるさいなあ、』

「そんなに置いてかれたい？」

『ごめんなさい。』

「やれば出来んじゃん。まあ、もう着いたけど。」

お兄さんの目線の先に小さな看板が。

　 ...__________『𝐌𝐢𝐝𝐧𝐢𝐠𝐡𝐭』