171.器用な男 ページ22
・
「Aちゃん、何食いたい？」
大野さんに聞かれて思い出す。
そうだ
ランチしに来たんだった
「デリバリーとかですか？」
「いや、作るよ」
「えっ！！大野さんが？」
「うん」
台所に移動した大野さんが、短めのサロンを棚から取り、手慣れた様子で腰に巻く。
ちょっとカッコいい…
雅紀には負けるけど
「そうですね…簡単なもので」
「蕎麦で良い？」
「あ、はい。何でも」
大きな鍋に水を張ってコンロにかける。
冷蔵庫から取り出したミョウガや生姜を切る様子を、カウンターの向かいから見ていた。
「大野さんてほんと器用ですよね」
「んー？」
「雅紀が言うんですよ。リーダーは何でも出来ちゃうんだよって」
「そうでもねぇけど」
「嵐のことを話す雅紀はほんとに楽しそうで…それ見てると私も顔がニヤけるっていうか」
「ふふ」
作業の手を止めた大野さんが顔を上げ、その瞬間、パチリと目が合う。
あれ
何だろ…この空気
「Aちゃんて」
多分、2秒にも満たないわずかな時間。
それが数十秒にも感じられた。
「相葉ちゃんのこと」
「…」
「大好きなんだね」
そう言って大野さんがふわりと微笑むから、私も
「はい」
と言って笑った。
「いただきまーす」
「どうぞ」
大きなガラステーブルに向かい合わせに座って、出来上がった蕎麦を食べる。
「ん、美味し！！」
「知り合いが送ってくれんの。こっちじゃ、売ってないんだよ」
「へー」
「薬味入れたら？」
「あ、はい」
「…」
「…」
蕎麦をすする音が静かな部屋に響く。
雅紀だと平気なのに、やっぱり大野さんと2人は緊張する。
「そういえば、Aちゃん相談て…」
「あ！そうでした、相談！」
「忘れてたの？」
「はい…すっかり」
「何しに来たの(笑)」
「ですよね」
大野さんが、あははと笑う。
私もつられて、えへへと笑った。
「相談っていうのは」
「うん」
「実は私、CMのプランナーでして」
「あー、相葉ちゃんがそんなこと言ってたっけ」
「で、嵐のCMを手がけることになって」
「へーすごいじゃん」
「でも、ですね…ちょっとスランプ気味っていうか」
「そりゃいけないねぇ」
「だから大野さんに相談にのってもらえないかなって」
「相葉ちゃんは？」
「できればギリギリまで秘密にして驚かせたいんですよね」
そう言うと、蕎麦で口をパンパンにした大野さんが私を見て「いいよ」って笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1412人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かおりん(プロフ) - Naoさん» 第7章もグイグイ来る大野さんをお楽しみに＼(^o^)／ (2017年10月26日 22時) (
レス) id: 06acd18c63 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 相葉君、ピンチ(゜ロ゜)私もリーダーにやられてます！ｸﾞｲｸﾞｲキテる！続き楽しみです！ (2017年10月25日 22時) (レス) id: b3c5110029 (このIDを非表示/違反報告)
かおりん(プロフ) - マーさん» マーさん、コメントありがとうございます＼(^o^)／すぐ波風立てたがる悪い癖が出てしまいました（笑）まだまだ波乱の展開は続きますが、ぜひそちらも楽しみにしていて下さい。 (2017年10月25日 21時) (レス) id: 06acd18c63 (このIDを非表示/違反報告)
マー(プロフ) - 初めましてかおりんさん密かにずっと読んでました！もうイチャイチャする2人もいいですけど、グイグイ来てる大野さんがまた良くって(o´艸`)まちゃきが男くさいのもたまらないです！次回も楽しみにしてますヽ(*^^*)ノ (2017年10月25日 20時) (レス) id: 74c8070496 (このIDを非表示/違反報告)
かおりん(プロフ) - Amoreさん» んふふー、さらにヤバイことになってます＼(^o^)／第6章これにて終了です。お付き合いありがとうございましたm(_ _)m (2017年10月24日 21時) (レス) id: 06acd18c63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かおりん
| 作成日時：2017年3月29日 22時
