ショートパスタ【∞】

どう思う《黒》 ページ33

こんな仕事をしている私を、あの人はどう思うのだろうか。




　繁華街のビル、中層階。朝方の薄ぼんやりとした街を抜けて、今日も働きに来た。そう、ラブホの清掃パートタイマー。24時間使われる事の多いとこだから、それなりにどの時間帯でも忙しい。早めに綺麗にして次のお客を入れないと…




　人目につくのが嫌な人たちが利用するから、私もなるべく隠れるように建物内を移動する。それでも階段の陰から何度も見かけるあの人は、いつも高そうな服を身に纏った女性を連れていた。相手はまちまち…
　細身の銀縁眼鏡と濃い目の色みのスーツが、頭良さそうだなって。私が出会ったことない人種。





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　こんな仕事をしている俺を、あの人はどう思うのだろうか。


　所謂若頭になっても、こんなこと続けなアカンのやろか。まぁ…我ながら顔がええからこういう役が回ってくるんだろうけどさ。



　今日も、抗争になりそうな向こう方の懇意にしとるオンナを誘って情報を搾り取る。組の近くのラブホ…正直あんまし綺麗ではないけど、店長にうまく言い含めてあるから何かと使いやすいねんな。



　コトの後、お礼のキスをドアの前で交わして口止めする。オバハンばっかり相手で感覚おかしなってきたけど(笑)、ある時気配を感じて非常階段に目をやると、そこには俺の命を狙うやつ…じゃなくて掃除のオネーチャンが居った。

　それからも何回かこっちを窺う様子があったけど…隠れきれてないのに本人気づいてないわ(笑)



　明るい色の髪を後ろで束ねて、くりっとした目でこっちを見てる。なんやリスみたいな。挙動不審。あんまし裏の世界には向かん人やな…



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　｢あ…｣


横｢あ…｣




　ビルの裏口、女性を送り出して一服している彼と、掃除を終えて結んでいた髪の毛をおろした彼女。



横(手袋でわからんかったけど、指環してはるわ…)



　(うわうわうわ！黒塗りの車が迎えに来たわ！まさかの893？！)



横(………それもまたアリやな…若いかと思ったけどちゃんと色気あるやん////)


　(それなりの地位の人みたいだけど…ズボンのポケット裏返しになってる(笑)直してあげたい…)




　バチっと目が合った瞬間。それぞれの思惑を乗せて、街はまた動き出す………




☆何かが…始まる…(笑)！死と隣り合わせの人ってフェロモンが半端ないらしいですね♪☆

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