駅前奇想曲【青・∞】

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手首をガシッと掴まれて、さすがに恐怖を覚える。でも、ここで弱いところを見せたら駄目だ……！ユウちゃんに何もなければそれで…



　自分が思う精一杯の悪い顔で男どもを睨み付ける。他にお客さんはいない。自分だけが頼りだ。いざとなったら金的。これに限る！


男2｢ふはっ、可愛い顔で睨んだって何にも怖くないしwww｣



　ずるずると引きずられるようにして店外へ連れ出されそうになる。ユウちゃんは防犯用カラーボールを持ってあたふたしている。…確かにお金盗られたわけでもないし、こんな補導レベルの悪さじゃ、ね…(笑)




　………？



　っなぁんて悠長なこと言ってられないよ！ピンチじゃん！！


　 ｢っ…離せバカガキ！｣


男1 ｢あぁ(睨)？！誰に向かって言ってんだ！｣ﾊﾞｼｯ


　｢っ痛！！｣



　容赦ない平手打ち。目の前が真っ白になった。自動ドアの開閉音だけが聞こえる。






　ぼんやりと視界が戻ったときに見えたのは…慌てて出てきたシラハタさんと、風になびいてきらめく誰かの金髪だった。



　ううん、私、この人のこと知ってる。私を背中に隠して…いつもとは違う、少し強めに感じるタバコの匂い、と……甘ったるい、いい匂い。


　｢や、すださ……｣


安｢………………殴ったんか(怒)？｣


安｢殴ったんかって聞いてんねん！！！…そこのおばちゃんも、早よう警察呼びぃ！！｣


ｼﾗﾊﾀ｢あっ！はいっ！！｣



　普段はバカみたいにたっかい声しか聞いたことなかったから、掠れた低音に背筋が凍った。この人…何が素なの？後ろに居るから顔は見えないけど…見ちゃいけない気がした。


男1｢ちょ、ちょっと待ってよっ俺らそういうつもりじゃないし(汗)｣



　走って逃げる男ども。凄い………威嚇だけで追い返しちゃった……




安｢…ふう。危なかったなぁ。通報せんでもええけど、警備強化してもらいや(ニコッ)？｣



　にこやかな顔でレジの二人に伝えると、何も言わずに私の手を引いて来ただろう道を戻りだした。ちょっと、このまま行くとあのおしゃれビル入っちゃうんだけど！？



　｢安田さんっ！待ってっ…速いよ…｣





　話しかけても返事はなくて。なんなら目さえ、合わせてもらえない。ヒールで足がもつれて、歩くのもままならないのに………



　社員さんのパスなんだろう。カードを使って連れてこられた先は、会社用の医務室だった。


　

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