駅前奇想曲【青・∞】

#４９# ページ49

安｢Aも行くやろ？｣ｺｿｯ


　｢ううん、滅相もない。ただ見に来ただけだから…帰るよ｣


安｢えー？！就職祝いも一緒にしたかった！明日お休みちゃうん？｣


　｢そうだけど…邪魔しちゃ悪いからさ｣



　そう言えば、少し考え込んだ顔をする章大くん。でもすぐに、ニコッと笑ってあるものを渡された。



安｢じゃあ、一個しか無いからこれ持って先に行ってて？なるはやで帰る♪｣


　｢わあ//｣


錦｢ちょお章ちゃん！打ち上げはやっつけ仕事ちゃうで！？｣


皆｢(笑)｣




　………そして。

　ｶﾞﾁｬﾘ。ｿｫｰｯ



　いつもは二人で入る部屋に、預かった鍵で初めて独りで入った。ただでさえ緊張するのになんだか悪いことしてるみたい。手探りで廊下の電気を点けると、気配を察してフラちゃんが体を起こした。



　｢ふへっ、お邪魔します｣


ﾌﾗ｢ｷｬﾝｯ｣



　もうすっかり仲良しになった我々は、一通り戯れてご主人を待つ。どうしよう。片付けとかしたらウザいかな。夜も遅いし…うーん……………zzz←





　ふと、耳たぶに触れる感触で目を覚ました。


安｢鍵かけないで寝るとか不用心すぎるで？まぁお陰で入れたけど。………これ、着けててくれたん？｣


　｢ふぁ…ごめん…うん、章大くんの最高傑作だしね｣



　耳にしていたのは、あの時のマグネットピアス。深い青が女子女子してなくて、普段アクセサリーとかしない私だけど気に入って買っていた。



安｢…嬉し//けど、プレゼントしたかったなぁ｣


　｢そ？バイト代、結構貯まってたから余裕だったよ｣



　リビングのソファで、ぎゅうぎゅう隣同士。この距離感もだいぶ慣れてきた。飲み直そ？ってコンビニの袋を渡されると、冷たい酎ハイが入ってて顔がついほころぶ。




安｢じゃ、ちょっと早い気もするけど代わりにこちらをプレゼント♪就職おめでとうございます〜｣


　｢…れ？｣


　安｢一緒に住も？ここからやったら、職場も近いし、毎朝ゆっくりイチャイチャ出来るやん♪｣


　テーブルの上から、もう一度渡されるこの部屋の鍵。いや、一個しかないって言ってたじゃん！呆気に取られた私を嘲笑うかのように、口に含んだ酎ハイを口移しで飲まされた。そのまま、舐めとられる形でキスが続く。


　｢ん…は//｣


安｢明日ちょっ早で合鍵作ってくるから！そしたら可愛い食器、探しに行こぉ？｣


　今わかったよ。shotaくんもlipsちゃんも全ー部この人の中にちゃんと居たんだね。


Fin

あとがき→←#４８#

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す