駅前奇想曲【青・∞】

#４４#(安田side) ページ44

うぁー…根つめてやり過ぎたわ…


　夏。バンドの新曲を作りたくてギターいじっとったらそのまま朝になってもうて。指も痛いしアドレナリン？出まくって寝られそうもない。昼からのいつもの勤務…徹夜で行くか。



安｢犬はええなぁ……｣



　毎朝明るくなると目ぇ覚めて、一人前にお腹すいて、ほんで散歩して？ってうるうる見てくるし。
　おれもこれくらい単純な生活したいわぁ。今年は海に一回も行ってないし、あぁあストレス!!潜りたい!!





　やけど朝早くの散歩ってリフレッシュにもなる。人の少なくて、なんかスカッとした道を寝不足の据わった目で歩いてるのんは場違いかも知らんけど(笑)


安｢ふわゎ………(涙)｣



　あくびを噛み締めて自販機でミルクティー買おうとしとったら、するりと手からリードが抜けた。まぁそれくらいなら大人しいコぉやし大丈夫、すぐ拾えば、って思って横を見た。



　ﾜﾝﾜﾝﾜﾝﾜﾝﾜﾝﾜﾝ!!!!!!


安｢……嘘やんっ(汗)！！！｣



　視線の先にうちのコは居らんくて、どうやら遠くに見えた好みの←？犬に全力疾走してってる後ろ姿が遠くにあるのみ。あかんって！そっちは大通りで交通量も激しい。轢かれてまうっ！！


安｢フラぁっ！！｣



　でっかい声で呼んだけど、止まらんくて。そんなとき横の居酒屋から出てきた人が、スライディングキャッチでうちのコを捕まえてくれてん。鞄放り投げて、中身ぶちまけてんのににっこにこで頬擦りしてんの見て、安心してへなへなへたりこんでしまった(笑)




　｢うはは、お前もしゃもしゃで可愛いなぁ♪おうちから逃げたのー？？｣



　リードを見て言うたんやろうけど、そのままうちの犬抱えて離さんから、急いでその人のもとへ走った。なんかこう…犬が喰われそうな勢いだったもんで(笑)



安｢すみません、ご迷惑をおかけしました!!｣


　｢あ、おにーさんの犬ですかぁ？ごめんなさい、私酔っぱらってるんで嫌がられてますうふふふふふふ♪｣



　嫌がられてる割には嬉しそうやん…この人変わっとんなぁ……



　無事引き渡しも終わって、荷物も拾ったって、お礼言って別れたんやけど、よぉく後ろ姿見たらアスファルトに擦れて白いシャツが真っ黒やん！腕も擦り傷で流血しとるし！！



安｢あ、待ってください!!手当てを！｣


って引き留めたけど、ひらひらと後ろ手でバイバイされて朝の街に消えていってしもうた。

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