駅前奇想曲【青・∞】

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安「カマキリさん放したったー？」


　「は、はいっ！！」



　ふいに背後で声がして、飛び上がって振り向いた。ふわりと何か香りがする。なんだろう？


　「前々から思っておりましたが…お兄さんておしゃれですよね…」


安「前々から思っとったんや(笑)そうかな？好きな服着てるだけやで？」


　「はい〜…そんでいい匂いがします」



　今まで接客中にこの距離まで近づいたことが無かったから分かんなかったけどね。何だ？香水か？チャラいなっ！！



安「何やろ。香りのするもの山ほど使っとるし。ボディークリーム、アロマ、入浴剤、香水……」


　「ううゎ……(汗)」


安「あ、今ヒいたやろ(笑)ほら、カエルさんやで〜♪」


　「あ♡」




　正直、こんなに自然と会話が出来ていることに驚いている。だって彼は毎日たこわさとお酒を買っていく、ただそれだけの存在だったから。



　ちょっとだけ、気になる。に変わった気がした。



　しっかし、カエルの足はぽちぽちしてて可愛いなぁ…(*^ｰ^)私も手の甲に乗せてニコニコ観察していたら、視線を感じた。


　「……？」


安「あぁごめん、ちょっとスケッチしてるから………動かんといてな」


　「えっ私ごと！？」


　「ん、やって、ええ笑顔やで？描きたなってしもてんもん」




　そんなことを云われたら、ガチガチになってしまうじゃん！褒められた笑顔も出てこなくなってしまった(笑)


　「////……芸術家さんか何かなんですか？」


　目も合わせられず、カエルちゃんに向かって話しかける。


安「にゃはは、そんなもんじゃないよ(笑)ほら、おねえさんとこのコンビニ、向かいにビルあるでしょ？あっこの中にアクセサリーのショップがあってさ、そこで店員兼デザイナーしてんねん」



　うぇっ、あそこの高級ブランドばっかり入ってるビル？！？私にはとても入れない空気感だけど(汗)ほわー……とんでもない人がお客さんだったんだ……
　とても驚いたけど、同時に合点が行った。毎日服装が不思議なこととか、羽振りが良さそうなとことか。


安「おし！出来た！ありがとー(ﾆｺｯ)時間大丈夫なん？」


　「あっ！あと15分で勤務です！」


安「うわ、引き止めてごめんなぁ？間に合う？」


　「うーん……なんとか。私が好きで居たんですから謝らないでください！あ、カエルちゃんありがとうございました(笑)」

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