駅前奇想曲【青・∞】

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シフトは午後から。カフェでお昼でもとりながら、企業にエントリーシートでも書くか。
　天気がいいので、外のテラス席でコーヒー片手にタブレット。おお、なんかデキるOLっぽくない？



？「きゃぁっ！！」

？「うおっ！！」


　背後の席で悲鳴が上がって、何かと思ったらテーブルの上に細長い茶色。結構小さめのカマキリだった。カップルが二人して、恐れおののいて引いてる。やっつけてよ！とか、オレ虫駄目なの知ってるだろ！とか。イライライライラ。



　ﾋｮｲ


　「良ければ私が遠くへ連れて行きましょうか？」



　そっと掴んで腕にとまらせたら更にカップルが引いた。虫に罪はないでしょ？確か裏手に畑か何かあったはず。そこから飛んできたんだなぁ…


　「結構かわいい顔してるのにね？」


　話しかけても虫には解らんか。小首をかしげて何が？って顔してる(笑)



　しばらくカマキリとネイチャートーク(？)しながら畑を目指すと、農業用の用水路のところにしゃがみこんでいる人影を見つけた。近づいても全く動かないので、



　「大丈夫ですか？」



　と声をかけると、振り返ったその人はまさかのカメレオン君でした。



　「あ…………」


安「どうも…………コンビニのおねえさん」



　どうやら顔は覚えられているみたい。というか、気分が悪かったわけじゃないのか。声かけて損した。
　ほんじゃこんなとこで何してるのさ？そう思ってのぞき込むと、彼の手の甲には雨蛙が二匹、乗っかってた。うわぁ、可愛い！




　あまりに凝視していたのだろう。急に彼が焦った声を出した。


安「あっごめん！苦手やった？」


　「いえいえ…むしろ可愛いなというか、触りたいというか」


　ついつい、私もその場にしゃがみ込む。


　「あっ、忘れてた。カマキリさん連れてたんだった」


安「ええっ？ケンカにならんかなぁ(汗)」


　びっくりして彼がこちらを見た。カエルに一点集中してたから分からなかったけど、なんて近さだ！一気に顔が熱くなるのを感じて、後ろに飛び退いた。


　「そ、そうですよね〜…私、この子放してきますっ」


　バクバクと心臓がうるさい。あぁ、あまりにも異性とのふれあいが無さ過ぎて緊張した…！間近で見た彼の顔が、まぶたに焼き付いて離れない。何も考えられず、近くにある茂みにダッシュしている自分がいた。

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