駅前奇想曲【青・∞】

#１３# ページ13

｢うーん………じゃあ、ヤスにぃで｣


安｢ちょ、ちゃうやん(笑)名字じゃなくて、名前で呼んでっていう意味やんか！そやなぁ…章大くんは？ほら、言うてみて？｣


　｢ぶふっwwwはい、し、章大くん(笑)｣


安｢なんやバカにしてる感じやんか〜(泣)｣


　｢だって、自分で自分の事君づけで呼んだっ｣


　あー面白い。家の前でどんだけ話し込んでんだ私たち。呼び方については、そのうち慣れるだろう。なんせ、ほぼ毎日コンビニで会うんだもん。
　LINEをやってるってことなので、ふるふるして交換しあった。家族や大学仲間以外の男子の名前……！


　別れたあと、や…章大くん、はまた駅のほうへ歩いていった。リュックがぽよんぽよん揺れて…あ、スキップしてますよ。
　この時は、気づかなかったんだ。彼があっちの方へ帰った理由に。彼の優しさに。



　｢ふーふふふーん♪｣



　今日一日で、新しい世界を垣間見た。世の中では、私の知らない人たちが私の知らない仕事をしている。就職先を考える時に、自分で自分の視界を狭めてたんだなぁ〜…有名企業しか、思い付かなかったもんなぁ〜。


　そう思いながら、手はいつものネットゲームに伸びていた(笑)lipsちゃん居るかな？いろんな事、聞いてみたいな…社会人なの？とか。





　……居ないな。
　最近なかなか会えないけど忙しいのかな？




　─lipsさんがログインしました─


本屋:来たーーーー！！！

lips:なっ何？なんか待たせてもうた？

本屋:いやいや、やっぱりダベるのはlipsちゃんじゃないと！

lips:ふふっ♪ごめんなぁ？最近帰ってきてもすぐ寝ちゃってさぁ〜


　そう言いながら既にポロンポロンとリュートを弾き始める彼女。あぁ…これなのよ…落ち着くわぁ…



lips:んで？どうしたの？

本屋:そう！聞いてくれる？



　顔も知らない私のともだち。一番素直にいろんな事を相談できる相手が、まさかネット上にできるなんて思ってもみなかった。
　二人で朝方まで、ふっかぁい話を続ける。今まで相手の事を細かく知りたいとは思わなかったのに、どうしてだろう？今は何でも言うし教えてほしいって、思ってる自分がいた。

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