悪夢 ページ33
______痛い
______痛い
______痛い
苦しい
俺は何もしてないのに
なんでこんな苦しい思いしなきゃ…
何で…ッ俺が……ッ！！！
俺…が…？
あれ…'俺'って…？
私……
いや…
これは誰なの…
意識がはっきりとし辺りを見回すと
高専に入る前自分が拘束されていた場所に似ている
お札の沢山貼られた空間だった
高専に入ってからしょっちゅう見る夢
今日はいつもと違ってかなりリアルだ
そして嫌と言う程感じる感触、匂い
腕がズキリと痛み、分かったことは
手は後ろに拘束されている
拘束を解こうと身体を動かそうとするが
自分の意思じゃ一切動かせない
声でさえ出てこない
なのにまるで誰かに取り憑かれたように
勝手に動く身体
そして今の私の口から出てくる声は私の声ではない
自分の身体じゃないはずなのに痛覚も伝わる
まるで…誰かの体に自分の魂が入り込んだような感覚
私は…誰の中にいるの…？
痛い…苦しい…早く覚めたい…
『すぐ楽にしてやろう』
顔はハッキリ見えないが
目の前に現れた老人の声に耳を貸す
楽に…なれる…早く覚めたい…
『俺は何もしてない…！
お願いだ…！頼むから！』
楽になりたいと望む私の意思と反して抵抗する身体
意地でも拘束を取ろうと激しく擦れる縄と腕
この人はどれほど叫んだのだろう
喉もカラカラで…
全部が痛い…
『嫌だ…ッ妹が待ってるんだ…！』
妹……
この人…妹がいるんだ…
妹が待ってるなら…
早く帰ってあげないとダメじゃん…
きっと寂しがってるよ…
『最期に言い残すことはあるか？』
目の前の老人が呪具のような物を振り上げる
え……？
最期……？
楽って…
殺されるの…？
そうか…
だからこの人は…ずっと嫌だって…
そう悟った瞬間
全てがスローモーションのように見えた
もうすぐ呪具が首にあたる…
『ハハッ…』
自分の口から…掠れた笑い声が漏れた
何で笑ってるの…？
嫌だ…
嫌だ…
やだ…ッ
やだ……ッ！
『________________________』
「いやぁあああああああっっ！！！！！！
ハッ…ハァ…ッ…ハァ…ッ…」
ガバッと首を抑えながら飛び起きると
そこはさっきのお札のある空間ではなく
寮の自分の部屋のベッドの上だった
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作者名：はなり | 作成日時：2021年2月26日 12時
