【呪術廻戦】彼女が闇堕ちする前に【五条悟】 (ページ16)

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溢れなかった涙ページ16

五条side

暖の呪いの気配で

伊地知とAが高専に帰ってきたのがわかり

駐車場まで迎えにきた

遅かったな～

しかし、中々車から出てこない

ウィーーーーンと運転席の窓が開き

伊地知が僕を見つけると若干ホッとした顔で

困ったように口を開いた

伊「五条さん、どうしましょう」

五「ん？」

窓の外から後部座席を覗くと

Aが窓に頭をくっつけて眠っていた

あ～…色々ありすぎて疲れちゃったかな

今日はこのまま休ませてあげた方がいいか

取り敢えず

カシャッ

伊地知の顔の前まで手を伸ばして
後部座席にいるAの寝顔を写メった

伊「五条さん？！」

五「伊地知うるさい

起きちゃうじゃん～」

伊「え？！あ、そうですよね」

なるべく音を立てないようにドアを開けると

ドア側に身体を預けていた為か

開けたドアと共に外へ倒れ出そうになるのを抑えて
横抱きにし、足でドアを閉めた

五「シートベルトさせろよ」

伊「？！してなかったんですか？！」

一応するように声はかけたのか？

五「してなかったけど」

伊「以後気をつけます……」

五「僕、一旦Aを寮の共同スペースのソファに置いてくるから、退学届、転入届諸々報告書頼んだよ」

伊「承知しました…」

さて、と

こうやってみると本当によく似てるなぁ

横抱きにしながら寮へ続く階段を登っていると
Aは眉を寄せ身を捩った

五「おっと」

「……………………そ……き…」

寝言か……

「………やく……か……て…き……よ」

ハッキリとじゃないが

何て言ったのかすぐ分かった

'早く帰ってきてよ'と

ふと、Aの顔を見ると

会ってから思っていた

常に濡れている瞳が____

溢れそうでも流れなかった涙が____

______流れていた

暖がいなくなって、毎日一人で泣いていたのだろうか

暖、執着してるのはお前だけじゃないよ

______兄妹愛か……

愛ほど歪んだ呪いはないな

五「大丈夫、君は僕が守るから

君はただ、強くなってよ

そして一緒に腐った呪術界を変えよう」

ソファにAを下して濡れた下瞼を拭ってやる

そして安心させるようにポンポンと頭を撫でてから

共同ルームを後にした