四話 ページ5
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____其れより、彼は今……己の名を森鴎外だと云った。
其れはかの文豪の名と全く同じだ。……どういう事だろうか。
「私は瀬城Aです」
「ふむ、では早速説明願おうかね」
一応疑問形ではあるものの、その瞳からは圧を感じる。
拒否権なんてあるようで無いようなものだ。実際語尾に疑問符があるようには感じなかった。
ヤダ怖い。
「はい。……私は仕事であの場に向かっていたのですが_____」
私はあの出来事を包み隠さず話した。
というのも普通は一般人……非術師に呪霊の存在を明かすのは駄目なのだが、私的には"異世界説"が濃厚な為打ち明ける事にしたのだ。
「ふむ。話の中に出てきた"呪霊"、"術式"とは何かね?」
「……先ず初めに、"私の知る"日本では怪死者・行方不明者は年平均一万人を超えます」
この言葉に二人の眉が僅かに動く。
「これらの殆どが人から流れ出た負の感情……"呪い"による被害です。
そしてこの呪いが蓄積され形の成したモノが呪霊。
姿形や習性は個体によって変わりますが共通点は人を襲うこと。
そして負の感情から生まれる負のエネルギーのことを呪力。呪霊の体はこれで構成されています。
加えて、呪霊は基本的に見たり触れたりという事ができません。
また、"術式"とは"呪力"を流して発動する特殊能力であり…例えるなら"呪力"が電気、"術式"が家電、といった処でしょうか」
長ったらしい説明だが彼等は理解出来ているようだ。
その頭脳の明晰さに目を丸くしつつも質問に答えていく。
「成程……その話を聞くと君は__所為"異世界"からやって来たと考えるのが妥当かな?」
「私もそう思っていますが……」
「……もう少し其方の世界について話して呉れないかい?何せ滅多にない機会だからね」
「構いませんよ」
割とすんなり受け入れられて驚いている。
斜め後ろに立つ少年は「"術式"を使えば時自 殺が出来るかも……!?」とか云っている。……自 殺…?
「呪霊については理解したのだが……それを倒す存在はいるのだろう?」
「はい。私のような"呪術師"が呪霊を祓っています」
「その呪術師というのは_____」
この後、暫く質疑応答が続いた。
でも質問の全ては呪術師である私にとっての常識だった為、特に粗相をする事も無く答えることが出来たけれど。
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よんこいち(プロフ) - らなさん» コメントありがとうございます!お褒めの言葉励みになります…載せて良かった…本日も更新致しますのでどうそ宜しくお願いします〜! (6月1日 18時) (レス) id: f9c9e5d141 (このIDを非表示/違反報告)
らな - コメント失礼します…!!文ストと呪術のクロスオーバー大好きなのでめちゃくちゃ読んでいて楽しいです!!内容もしっかりしてて本当にすごいです…!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!! (6月1日 17時) (レス) @page17 id: e0fbbf9247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年5月29日 21時