二十四話 ページ25
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「まぁ、アレだ。
……結局俺は、俺が"何"なのか最後まで知る事が無くなった訳だ。
自分の中じゃ十五ん時より吹っ切れた方だとは思うが、心のどっかで未だ悩んでることがある」
俯き、最後は消え入る様な声でそう呟いた中原君の顔は髪と帽子に隠れて私からは見えない。
その様子からこれまで散々"自分"についての葛藤を繰り返してきたことがひしひしと伝わってきた。
___彼はこの数年間、相当苦悩してきたのだろう。
「……じゃあ悩める中原君に
___私は十四年間、研究所にいたから経験なんて全然足りないし己の感情すら偶にままならない時だってある。
だけれど、これは自信を持って云えるよ。
__私から見た"中原中也"は紛れもない"人間"だ。
"荒覇吐"と同じく人智を超えた私からの言葉だ、素直に受け取っといてよ」
バッ、と弾かれるように此方を振り向いた彼の瞳は期待と歓喜、そして安堵が入り交じっているように見えた。
中原君の口は少し開いていたがそれは直ぐにキュッと結ばれ、何かを堪える様にして己の帽子を深く被り、下を向かれた。
「………若しかして…泣いてる?」
「……泣いてねぇ」
「泣いてる」
「泣いてねぇ!」
若干声が震えているのが判るが、此処はそっとしておこうかと思い車に乗り込む。
私は肩の力を抜いて脱力する。
殲滅よりも会話の中身が濃くて変に疲れた気分だ。
ぐぐぐ、と背伸びをしたら首領に全部片付いた事を報告。携帯を切って衣嚢に仕舞う。
あ、この携帯は首領から渡された。無いと不便だって。
隣で顔を帽子に
___どこまでも続く空が、"彼処"の世界まで続いてるような気がした。
「__泣いてる」
「泣いて!!ねェ!!!」
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よんこいち(プロフ) - らなさん» コメントありがとうございます!お褒めの言葉励みになります…載せて良かった…本日も更新致しますのでどうそ宜しくお願いします〜! (6月1日 18時) (レス) id: f9c9e5d141 (このIDを非表示/違反報告)
らな - コメント失礼します…!!文ストと呪術のクロスオーバー大好きなのでめちゃくちゃ読んでいて楽しいです!!内容もしっかりしてて本当にすごいです…!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!! (6月1日 17時) (レス) @page17 id: e0fbbf9247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年5月29日 21時