二十二話 ページ23
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「…俺も似た様な感じだぞ。研究施設にいたんだと。」
後処理が終わった様子なので車に向かいながら彼の生い立ちについて訊ねる。
……と、同じ研究施設育ちだと返ってきて少し驚いた。
「この世界にもあるんだね、研究施設とかいうの」
「他の施設があって、残ってるのがあるかは知らねぇが……俺が彼処にいたのは大戦時だったからな。
んで、そこの施設である研究が行われてた。」
____この世界の日本が大戦真っ只中な時代。
"異能力"が周知されている世界では其れを取り入れた戦争が起こっていたそうだ。
「その研究過程で生まれたのが人口異能生命体、甲二五八番___…"荒覇吐"。
で、荒覇吐の安全装置として機能してるのが俺……"中原中也"って人格だと考えてた」
"荒覇吐"が中原君に植え付けられたんじゃなくその逆と考えてたのか。
彼は空を見つめて語る。
「で、俺の……兄貴とその相棒?親友?の力で施設を出た。
其の時荒覇吐の暴発が起きて周囲を巻き込んで爆発したらしい。
……其の爆発で生まれたのが擂鉢街、半年もいるなら一度は見たことあるだろ?」
_____擂鉢街。
抉れた土地に次第に人が住み、暮らすようになった貧民街。
そこ迄の軽い説明しか聞いていなかったが……。
荒覇吐の起こした爆発でああなったのか。それは初耳だ。
「俺が記憶を持ってるのは暴発した後からだ。
さっき云った研究所にいた記憶も無い。その事とかは全部、去年に初めて識った。
……擂鉢街で何とか暮らしてたら"羊"っつう、未成年で構成された集団に拾われてな。
その恩を返す様に異能を使ってた」
急に見知らぬ街に放り出されて人生が始まって困惑しただろうな。
……記憶が無いのか……屹度其処でも彼は葛藤したのだろう、自分自身について。
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よんこいち(プロフ) - らなさん» コメントありがとうございます!お褒めの言葉励みになります…載せて良かった…本日も更新致しますのでどうそ宜しくお願いします〜! (6月1日 18時) (レス) id: f9c9e5d141 (このIDを非表示/違反報告)
らな - コメント失礼します…!!文ストと呪術のクロスオーバー大好きなのでめちゃくちゃ読んでいて楽しいです!!内容もしっかりしてて本当にすごいです…!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!! (6月1日 17時) (レス) @page17 id: e0fbbf9247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年5月29日 21時