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十六話 ページ17

「否、無下限呪術を使っている時のみですよ。理屈は分かりませんが…
…まぁ、六眼が無ければ無下限は扱えなかったので助かりましたが」

「…不思議ですね」

「綺麗な色だねぇ…あの蛞蝓と同じ青というのが少し癪だけれど」


そう云い、愚痴を垂れる太宰君は何故か様になっているし、物憂い気に見える瞳からは儚さを感じさせられる。

包帯が残念だが。



……そういえば他の二人の顔も整っている。

織田さんは目立つ色合いだがそれを補う程の顔の良さ。

坂口さんは垂れ目と黒子が……エr…後は察して。


勘定台(カウンター)に顔をくっつけ交互に見較べていると訝しげな視線を向けられた。


「…なに、何かついてる?」

「否……皆顔が良いなって…」


そう云うと皆目を点にした後、各々別の反応を見せて呉れた。


「ふふ〜、私の顔の良さを理解出来るとは!矢張Aは良き理解者だ!」

「……そうか?」

「!?………!?」


顎に手を添えキメ顔で云い放つ太宰君、小首を傾げ顔に手を当てる織田さん、動揺して眼鏡がズレた坂口さん。

面白いなこの三人。
 

「何せ私は女性に断られた事が無いからねぇ〜…

…嗚呼、若しかしてAも惚れちゃった?」



否定しない辺り太宰君だな。

……というか、最後の台詞は女性を口説く時用の顔と声色だったな。仕掛けに来たなこれ。

偶にはやり返すのも良いだろう。
 

「うん。……って云ったらどうする?」


勘定台から顔を上げて目を細めて不敵に笑い、少し首を傾げ、如何にも"余裕"という雰囲気を作る。

こういう時の視線は歌姫先輩と硝子から教わった。

 
「………あー、あーー!」

「あっはは」

「おぉ」

「…今の……。…いえ、何でもありません」


太宰君は反撃は予想外だったのか、勘定台に頭を打ち付けている。叫び乍ら。ウケる。


織田さんは何故か感心したような声を漏らした。
マジの天然だなこれ。

坂口さんは何云おうとしたのかな。沈黙の長さが色々と語っている。


其れを見て笑っていれば、視界の端に映った時計の針が可也進んでいた。
 

「……おや、もうこんな時間だ。仕方無い、私達はそろそろ失礼するとしよう」
 
「また会った時は宜しくお願いします」

「嗚呼」

「えぇ。それでは」



軽く手を振り別れる。

私は手中に収まる"Lupin"のマッチ箱を見た後衣嚢(ポケット)に仕舞った。


「じゃ、私達も行こうか」

「了解」


 
___之が、私と彼等の物語の始まりと為った。

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よんこいち(プロフ) - らなさん» コメントありがとうございます!お褒めの言葉励みになります…載せて良かった…本日も更新致しますのでどうそ宜しくお願いします〜! (6月1日 18時) (レス) id: f9c9e5d141 (このIDを非表示/違反報告)
らな - コメント失礼します…!!文ストと呪術のクロスオーバー大好きなのでめちゃくちゃ読んでいて楽しいです!!内容もしっかりしてて本当にすごいです…!更新楽しみにしてます!頑張って下さい!! (6月1日 17時) (レス) @page17 id: e0fbbf9247 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:よんこいち | 作成日時:2023年5月29日 21時

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