完全肯定 (ページ8)

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まだ慣れないライブへの緊張と、A来てくれてるかな、なんて不安と。

まあ、あと付け加えるとするなら、相方への不満と。

ちらっと下田の方を見ると、「なんやねん」なんてキレ気味で言われたので目を逸らす。

それでもここ数週間は喧嘩が減った。

これもAのおかげやな、なんて思いながら舞台袖まで移動する。

先に来ていた下田の隣に立つと、会場に響くぐらいでかい舌打ちをされた。

まあ、喧嘩は減っただけでめちゃくちゃするけどな。

舞台に出ると一番にAが目に入った。

いつもより可愛い、いや、いつも可愛いけど。

僕のネタで笑う君が、どうしようもなく愛おしかった。

2週間も会っていなかったせいで、余計彼女を恋しく思った。

ネタが終わって舞台袖に捌けると、いつもより上機嫌な僕を見て、

「なんでそんな機嫌ええねん」

なんて言ってまたあのでかい舌打ちをされた。

「九条飲み行こや」

いつものごとく青空に誘われたので、いつものごとく承諾する。

Aに会いに行こうと思ってたけど、今日のライブでもうちょっと僕のこと恋しくなってほしかったからやめた。

今日の夜にでも家押しかけようなーなんて考えながら服を着替える。

「あ、下田も来るで」

この一言にテンションが下がりつつも居酒屋へと足を運んだ。

日付が変わろうとする頃。

もうそろそろ終電だっていうのに飲み会の盛り上がりはピークに達していて、これは朝までコースやな、と察する。

ㅤㅤㅤㅤライブ行ったよ!ほんとに面白かった!!!チケットありがとうね!

ふとスマホを見るとこんなLINEが入っていて、無性にAに会いたくなった。

「ごめんもう帰るわ」

ベロベロに酔った同期たちを置いて店を出る。

ほろ酔い気分と、夜風が気持ちよくて、Aと酒飲んでみたいなー、なんて思った。