君が好き (ページ1)

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キザな王子様。kn ページ1

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『はいはい、わかりました』

と、私にこんな呆れた声を出させるのは

この世でたった1人。

そう、中島健人。

「ねえちゃんと聞いてる！？」

『聞いてたよ、でもそれ何回目』

健人は、そこらへんの男とは違う。

いつも、甘くて優しくて

キザなセリフをバンバンいう、まるで王子様。

でも、きっと、

そんなあまーいセリフ、いろんな人に言ってきたんだろう。

「だって、会うたびに思うんだもん。Aって太陽にみたいにキラキラしててお花みたいに可愛くて、俺のハート完全盗まれてるって感じ」

『………へえ』

きっとその言葉も、量産型。

私だけに向けられた言葉なんかじゃない。

「……嫌だ？」

突然、私の顔を覗き込んでくる健人。

いきなり目の前に現れた健人の綺麗な顔に多少なりとも照れる。

『なっ、なにが』

「…こういう、くどーい言葉言われるの」

どうやら、私があまり健人の甘いセリフに反応しないから

それが実は嫌なんじゃないかと、心配になったらしい。

『別に、嫌じゃないよ』

″よくそんな言葉が出てくるなーとは思うけどね″

と、少し皮肉交じりに返す。

「ほんとに！？じゃあこれからも言っていい！？」

と、目をキラキラさせて身を乗り出してくる健人。

『…いい、けど…。』

「よかった～、俺こんなキザなことAの前でしか言えないからさ～…」

『…え？』

私の前でしか、言えない？

嘘だ、こんな慣れているのに。

「…可愛いとかさ、愛してるよとか、女の人に言ったことないし、Aと付き合い始めてから俺そういうこと言えるように頑張ろうってAには伝えていこうって俺…」

健人が少し顔を赤らめながら

そういったとき、

最後まで我慢できずに、

可愛すぎる健人を抱きしめた。

『これからも、キザなセリフは』

″私だけに言ってね″

「……うん、姫！」

× キザな君が好き。

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