三途の嫁、死んだってよ【東リべ】 (ページ5)

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「…なんで、お前、死んだんだよ」

やっと喉から絞り出した言葉が、お前何年反社やってんだよ、と笑えるくらい震えている。

言葉にしてようやく分かった。情けねぇけど、今、俺はめちゃくちゃ怖いんだってことに。

『…あのさっ、蘭ちゃん…』

「うん、」

『私さ、わたしっ…！』

葬式前、三途に見せられた彼女の死亡記録は、明らかにおかしかった。

[死亡理由ｰｰｰ○殺]

お前が“そんなこと”で、死ぬわけねぇだろ…？

『私、お前じゃなくて、Aっていう名前あるんですけど！！』

「…は？」

あまりにとんちんかんな返答に拍子抜けする。

　
…そうだった。“生前”の彼女ｰｰｰいや、Aはこういう奴だった。

【お前？私、“お前”っていう名前じゃないんで。Aっていう名前ありますけど？】

その日、竜胆と一緒にマイキーに気に入られてるってウワサの、そこそこ可愛い女に会いに行った。

実物も悪くなかったし、まぁ遊んでやるかってカンジで話し掛けた。

確か、“お前がマイキーのオキニ？”って。

【俺ら六本木のカリスマだぜ？媚びってくる女は山ほど居たけどさ、ケンカ吹っ掛けてくる女、初めて見たんだけど】

【…ろっぽんぎのかりすま？何それ？】

俺らのことを何それ呼ばわりした上に、もう帰ってもらって良いですかって言ってくる始末。

初めはどーにかして泣かせてやろうって思ってたのに、いつの間にか虜にされていて、いつも一緒にいた。それで、仲良くなったってワケ。

「…お前ってそーゆー奴だったよな」

『だから、お前じゃないもん！』

「あーハイハイAちゃん♡」

暫くの沈黙。下を向くA。

なにか地雷でも踏んだか？それとも何か…？

『…なんか、蘭ちゃんがちゃん付けしてくると違和感しかなくてきもい…』

「はい、お前死刑決定」