Hello, Again

本音と建前 ページ38

「……な…に、言ってんの」



驚いて上手く言葉が出なかった
嬉しいのに嬉しくない
そんな意味のわからない感情が頭を巡る



マ「…ダメ…かな」




「…ダメ…だよ。…あたしはもう、ジンくんがいるし…」





マ「…そう…だよな。悪ぃ。じゃあ仕事頑張って」





逃げるように切られた電話を見つめたままため息をこぼした
ジンくんを裏切ることなんて出来ない
そう思ってるのに逃してしまったチャンスを後悔する自分もいる


3分45秒と書かれたトーク画面を見つめても
そこからの連絡は何もなくて仕方なく会社に向かった。





ジ「貴方、今日も撮影があるから先に家にいてくれる？」




お昼休みを狙ってかかってきたジンくんの電話に応答するとこれもまたタイミングが悪い誘いが来た




「……ごめん。今日はあたしの家にしない？」




彼の家には行きたくない。
きっとマホトがいるから。
理由を聞かれたらどうしようなんて戸惑いつつも




ジ「…わかった、じゃあ仕事終わったらそっち向かうね」




ごめんなさい。そう心の中で謝って電話を切った
これでいいんだ。言い聞かせてもモヤモヤした感情は消えなくて仕事で疲れている体に余計負担がかかる。




ーーー


ーー




ジ「これ、お土産。すげぇ並んだんだよこのケーキ」




少し前にテレビで有名になってたケーキ屋さんのロゴが入った箱を渡された
会社の女の子達も皆これが食べたいがために２時間程並んだと耳にもした




「わっ、凄い有名な所でしょ？どのくらい並んだ？」

ジ「一時間半は並んだ」

「嬉しい…！あたしも食べたかったんだぁ」

ジ「喜んでもらえたならなにより」

「…でも、その格好で並んだの？w」

ジ「もちろん。すげぇ視線が痛かった」



そりゃあそうだろう。
オシャレな格好してサングラス掛けた彼が女の子が並ぶケーキ屋さんの列に居たら私でも見てしまう
おかしくて笑ってると、思い出して恥ずかしくなったのか顔を隠しだした





ジ「明日は休み？」

「うん。やっと休みだよ。今週も長かった〜」

ジ「じゃあ何処か出かけようか」

「うん。どこ行こうかな〜」



前にコンビニに2人で行った時に
ジンくんが買ったお出かけ雑誌をパラパラとめくると様々なスポットが目に映る





こうした時間が何よりも、幸福だと思えた。

本当に言えない事は胸の奥に→←歩き始めたばかりなのに

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