赤は青に染まる 【山/OS】完結

感情、 ページ12

「あ…、な、なんもないっ」


心配げに見つめるその目から逃れたくて必死に目を反らす

大野くんの目は不思議で、すごく飲み込まれそうになった

ちょっと、こわい…


そうすれば大野くんは両手を離して


くれると思ったんだけど、そのまま俺の頰で遊び始めた。


「んふふ、しょーくんほっぺむにむにしてきもちーのな。おいらこういうの好き」

へにゃへにゃ、なんて優しく笑う顔と反してキラキラ光る金色の髪

首元にはネックレスも光っていて


通りでこの人をみるとキラキラするはずだ


でもちょっと、じぶんの感情がよくわからなくてごちゃごちゃしてる

早くこれを片付けたい

おれ、どうしちゃったの？


「…ん、む…おおにょく…」


頰を触られて上手く喋れない

「ふは、かーわい」


やめて欲しくて手で制するも大野くんは力が強くてかなわない。



「んん、やめ、…おおにょくっ…」


恥ずかしい

目を合わせないようにぎゅっと閉じていた目をそっと開くと


「大野くんって、やめたらはなしてあげる」


優しく微笑んでいる大野くんと目があった


どきりと心臓が跳ねる

「…智、名前呼んで？」


舌足らずの彼が漢字を話しているように聞こえたのは気のせい？



「…しゃ、しゃとし…くん」


呼び捨ては恥ずかしくてできない。


ふわりと大野くん…、じゃなくて智くんが微笑んでぱっと手を離した。


「よくできました、しょーくん」


優しい笑顔で俺の頭をよしよしって撫でる彼に
ずっと胸がドキドキしていた。





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