【手記】 ページ33
ｷﾞｲｨｨｨ
立て付けの悪いドアが軋む音をたてる。中は薄暗かったため松明をつける。そして目の前に広がるのは明らかに人がここで生活していたであろう、ベッドや本棚、机や椅子も置いてあった。
「人がおったんか？」
誰も中に居ないことを確認し、机の上にある本を手に取る。
本を1ページ1ページゆっくりとめくる。そこにはこの世界の事が記されていた。
''夜になると化け物の数も増え、蜘蛛は襲ってくるようになる''
''何日も寝ていないと飛行する化け物に襲われる。あれは幻覚か？いずれにせよベッドは常に持っておくべきだ。''
やっぱり俺ら以外にも人が居たのか、と改めて実感した。次に隣に置いてあったペンと本を手に取る。どうやら日記のようだ。開かれてたままのページは乱雑に文字が刻まれており、かなり慌てていた事が読み取れる。
'' ついに、遂にだ、やっとこの世界から出る方法に辿り着いた。この方法で本当に出れるかは分からない。分からないけどやらなくては。俺はこの世界から何としてでも出る、元の世界に帰って幸せな生活に戻る。
不気味な目玉で囲まれたワープゲートに入り、忌まわしき化け物を倒せばきっと元の世界へ戻れる。
俺の前にもこの世界に放り込まれた奴が居たんだ。そいつの手記を見た、残念ながらそいつはここを出られなかった。手記を握ったまま血塗れで一部が腐敗した死体になっていた。
その手記に書かれていた事を毎日コツコツとやってきた。
1．背の高い化け物を倒し、目玉の様な水晶を集める事
2．地獄へ行くゲートを作り、地獄の要塞に行き炎を飛ばす化け物を倒し金色の棒を集める事
3．それらを組み合わせ、ワープ出来る目玉を作る事
4．地下深くにある要塞の中にある不気味なゲートを探す事
5．集めた目玉でゲートを解放
6．ゲートに入り黒く忌まわしい化け物を倒す事
俺はようやく5つ目まで辿り着いた。あとは奴を倒すだけだ。
この日記を見つけた運のいい奴は急ぐんだ。いつ死ぬか分からないぞ、死んだら帰れるかも分からない。とにかく急げ。
そこで日記は完全に途絶えていた。
こいつが帰れたのかも忌まわしき化け物とやらを倒せたのかも分からないままだった。
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←【かっこいい所】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みーたむ(プロフ) - めんつゆさん» いえいえ！次の更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2020年9月28日 23時) (
レス) id: eb95377d83 (このIDを非表示/違反報告)
めんつゆ(プロフ) - みーたむさん» 読んでいただきありがとうございます！本当ですね...自分いつも「うる覚え」って言っちゃってるので間違えちゃいました…ご指摘ありがとうございます！ (2020年9月28日 17時) (レス) id: 19818bbb1b (このIDを非表示/違反報告)
みーたむ(プロフ) - いつも楽しく見てます！ただ誤字が気になったのでコメントしました。突然の来客の話のところで「うる覚え」と書かれているんですが正しくは「うろ覚え」だと思います。 (2020年9月28日 8時) (レス) id: eb95377d83 (このIDを非表示/違反報告)
めんつゆ(プロフ) - ゆきなさん» そうですそうです...! (2020年8月29日 14時) (レス) id: 19818bbb1b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 痣とかの事かな？tn氏が言いたいのは (2020年8月24日 6時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めんつゆ | 作成日時：2020年7月19日 16時
