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下校時刻まであと30分もない中、私たちは急いで旧校舎へ移動し、階段を駆け上がった
やっぱりピアノを弾かないと落ち着かない
私はそんな気持ちだけど、蓮が聞きたいと言ってくれることが素直に嬉しかった
蓮「今日のリクエストはあれね！
初めて会ったときに弾いてた曲」
「今日のリクエストっていつもそれじゃん」
蓮はどうやらその曲が好きらしい
こうやって蓮にリクエストされるのも何度目かわからないぐらい
なんだかんだ言いつつも私も弾き始める
蓮は目を閉じて耳だけで曲を楽しんでいるようだった
私は私で自然に指が躍るように鍵盤の上を跳ねる
タイトルもないこの曲を私たちはなによりも大切にしていた
蓮「俺さ、考えたんだけどこの曲の題名」
「え？蓮が⁈」
蓮「光ってどう？」
「光？、、、」
蓮「初めは落ち着いてるじゃん、そこは影なの。でもだんだんと明るくなっていって、差し込む一筋の光、そんな感じしない？」
蓮の解釈なんだけど納得してしまう自分がいた
というより、作ったのは自分なんだけど、蓮の考えているイメージは少なからず私の中にもあったんだ
薄暗がりにいるのに途中でパッと光が差すようなそんなイメージ
蓮「どう、、、かな？」
「いいね、私も気に入った。タイトルつけてくれてありがとう」
蓮「なかなかいいセンスしてるっしょ？」
私が素直にお礼を言うと蓮は満足そうに微笑んだ
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作者名：紫陽花
| 作成日時：2020年9月27日 23時
