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せっかく公園まで来たからそのまま近くのベンチに並んで座って喋ることにした
人混みに戻ればまた蓮のことがバレてしまうかもしれないから
「でも、こんなに人気だったのにどうして辞めちゃったの？」
1番の疑問はそれだった
ネットを見る限り、凄い人気だったことがわかる
それなのに突然引退するなんて
蓮「辞めた理由？
深い理由はねぇかも、、、」
考え込んでいた割には薄い答えが返ってきた
そういうところも蓮らしいんだけど
蓮「それなりに楽しんで、人気も出て、満足したって感じ
別に、モデルとして食ってこうなんて思ってなかったし」
遠くを眺めながら話す蓮の瞳は何故だか寂しそうに見えた
気のせいかもしれないけれど
「そっか、、、
でも、大変だね。辞めてもあんなにファンの人に追いかけられるのは」
これ以上辞めた理由を聞いても蓮は答えてくれない気がして話題を変えた
蓮「ほんとだよ、ありがたいことなんだろうけどさ、俺はもう一般人だっつーの。
辞めてからしばらく経つし、もう大丈夫かと思ったんだけどバレちゃったみたい」
「普通にしてるだけでカッコいいし目立っちゃうもんね。
また見つかっても何度でも走ってあげるよ笑」
私がそう言うと蓮は嬉しそうにまた笑った
蓮「Aのそういうところ、ほんと好き」
蓮がぼそっと呟いたその言葉は私の耳には届かなかった
この時も私はまだ気付いていなかった
蓮のこの笑顔の裏に隠された秘密
蓮が背負っているもの、何一つ気づかずにこの平凡な毎日がずっと続くと信じていた
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作者名：紫陽花
| 作成日時：2020年9月27日 23時
