宿儺が愛した女性【呪術廻戦】

四十二 ページ44

宿儺side







＿＿＿幾度、人間に戻りたいと願ったか。




生得領域で上の空に、そんなことを考える。





俺は元より呪術師だった。




呪術師として生活をしていた。





或日ぷつんと糸が切れて、





気が付いた頃には






怨霊として、







呪霊の仲間入りをしていた。









俺を封印したのは若い呪術師だった。




希代、稀に見る天才。




ありとあらゆる術を持っていた。



力の差は歴然。






三日三晩闘ったが、負けた。



俺は封印された。






＿＿＿呪霊になど、ならねば良かった。






呪霊になどなっていなかったら



あの頃、あの瞬間、



Aと幸せに暮らせていた。



千年も待つことは無かった。


封印されることも無かった。



そして何より、



俺は死んでいた。




反転術式もままならない頃は




殺さない程度に痛めつけられ、




激痛が身体を襲う。




それが、千重頻く頻くに繰り返される。




幾度殺してくれと思ったことか。








＿＿＿幾度、老いたいと思ったか。






＿＿＿幾度、平穏に暮らしたいと願ったか。






＿＿＿幾度、Aと再会したいと思ったか。







＿＿＿幾度、人間というものに成りたいと願ったか。

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