宿儺が愛した女性【呪術廻戦】

三十五 ページ37

Aside

放課後。
部活がないので、早めに寮に帰った。
簪は机の中に置いてきた。
昼みたいに、呑まれそうになるのが嫌だったから。

ベッドでゴロゴロする。
手元のスマホで、簪についていろいろ調べてみる。

私に届いた簪には、ツバキの蕾の様なものが付いていた。
年代モノだから文献に載ってたりするかな、と思い、文献や論文がまとまってあるサイトに飛ぶ。

文献をたくさんスクロールして、やっと目当ての文献を見つけた。



＿＿＿あの簪は『蕾簪』というらしい。

平安時代の物で、当時生きていたある男性が、愛する女性にあげたそう。

しかし、その女性は不憫にもすぐに亡くなってしまい、男性は悲しみのあまり行方不明に……。

簪は、女性が亡くなったときに神社へ奉納されたらしく、何故それが私の元にあるのかが不思議だ。


一応お母さんにこのことを伝える。


「もしもしお母さん？」

「A？大丈夫だった？」

「うん。あの」
「あのね、Aに言わなきゃいけないことを思い出したの」


話を遮られたが、お母さんが言わなきゃいけないこと、となったので話を聞く。


「なに？」

「朝言ってた、届いた物、開けた？」

「うん」

「……開けたなら、もしかして簪だった？」

「………え？そう、だけど」

「やっぱり…」

「どういうこと？」

「その簪ね、Aが生まれてきた時にも、届いたのよ」

三十六→←三十四

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す