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三十四 ページ36

Aside

昼休み。
樂由奈と机を並べて届いたものを開ける。

ちょきちょきとハサミで封を切ると、丁寧に梱包された簪が出てきた。
しかも、周りが御札で貼られている。

「怖っ」
「何で御札?」
「私!私剥がしてみたい!」
「駄目だろ。Aに届いたやつなんだから」
「ちょっと位いいよね?ね?」
「全部剥がしてもいいよ」
「やった!」

由奈に簪を渡す。
由奈が爪を立てて御札を剥がそうとするが、御札は剥がれなかった。

「剥がれない……」
「いや、いくら何でもそれは無いだろ」
「ホントだって!樂剥がしてみてよ」
「貸してみろ」

簪が樂に渡る。
樂は由奈と違う所から剥がそうと試みる。
しかし、御札は剥がれるどころか傷1つ付かなかった。

「何でだ?」
「A、剥がしてみてよ」
「分かった」

樂から簪を受け取り、ぺりぺりと御札を剥がしていく。

「うそ…」
「普通に剥げたよ?」
「Aだけが剥がせる?」
「全部剥がしてみよ!」
「うん」

由奈に促され、御札に手をかける。
1枚、また1枚と御札が剥げていく。


最後の1枚が剥がれた時、黒い何かがぶわぁと出てきた。
手から腕、腕から腹部、腹部から足へと広がっていく。

「なに、これ…」
「何?」
「何かあったのか?」

嘘、2人に見えてない?
私にしか、見えない?

どろどろした黒い何かが私を包み込む。
ずぶずぶと足が抜かり、身体全体が包まれていく。

「助け、て」
「どうした?」
「保健室行く?」
「ぃ、ゃ…」

呼吸が上手く出来ない。





__呑まれる____即ち、死ぬ。





その8文字が、頭の中に思い浮かぶ。
感じたことのない恐怖。

「ゃ、だ……やだ、やだぁ!」

強くそう叫ぶと、何も無かったかのように黒いモノは消えていった。

「消えた…」

呑まれなかった…
ハッとして周りを見ると、クラスメイトが私のことをじっと見ていた。


「………ねぇA、ホントに大丈夫?保健室行った方良くない?」
「急に叫んだりして、大丈夫か?」

由奈、樂からそう言われる。
それを皮切りにザワザワとクラス内が騒がしくなった。
途切れ途切れに聞こえる「大丈夫?」という言葉。

「うん、大丈夫、気にしないでいいよ。続けよう」
「大丈夫…なら、いいけど…」







その日、部活を休んで病院を受診した。
でも、何も悪いところは見つからなかった。
やっぱり……

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うゆに塩湖(プロフ) - あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします! (2023年1月1日 18時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 箱さん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます! (2022年12月7日 19時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
-  ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2022年12月7日 18時) (レス) @page44 id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 言い訳−宿儺って死後に呪いなったの今気づきました。…でもいいよね、夢小説だし……。ね?ね?? (2022年11月27日 22時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - Ashleyさん» コメントありがとうございます。ワクワクしながら読んで下さることが、本望です。更新頑張ります! (2022年8月31日 12時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うゆに塩湖 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php  
作成日時:2022年4月10日 16時

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