三十二 ページ34
No side
「久方ぶりだな、A。ほら、座れ」
「失礼致します。あの、私どれほど寝ていました?」
「……ざっと数えて千年ほどだな」
「そんなに…。お待たせしてしまい、申し訳ありません」
「こうして俺の元へ戻ってきてくれたのだ。良しとしてやろう」
「相変わらずですね、宿儺さん」
「変わっているつもりは無いが?」
「はい!千年経っても、宿儺さんのままです!」
「…ッ」
「宿儺さんもしかして照れてますぅ?あれあれあれぇ?」
「揶揄うな、阿呆が」
「でも、少し外見が変わりましたか?。二つの御顔があった宿儺さんも良かったですけど……」
「何だ?」
「今の御顔も凛々しくて……その…」
「…少し黙ってくれ」
「ぁ……すみません。私程度が出過ぎました……」
「………」
長い沈黙。
気まずさに耐えきれなかったAが話を再び切り出す。
「…………そうだ、千年ってどんな感じでした?やっぱり長かったんですか?」
「…知ってどうする?」
「…い、いえ!私はただ純粋に知りたかっただけで…まぁそうですよね、千年って長いですもんね。忘れたいこともたくさんありますよね。聞いてしまってごめんなさい。
でも……
綺麗な人も、たくさんいたんですよね。
死なせたくなかった、とかありますよね。私が宿儺さんの呪いになっちゃったから、宿儺さんが幸せになれなかった」
「…………」
「……いいんです。うん、充分。私は前世だけで充分なんです。宿儺さんからたくさんの愛を頂けましたから。私が宿儺さんの足枷になるくらいなら、私はもう二度と出てきませんから…っ」
「………珍しく嫉妬か?」
「違いますっ…!」
「泣くな泣くな。台無しだ」
「だって……だって久しぶりにお会い出来たのに素っ気ないから…」
「それで、俺が他の女に移り気したと?」
「はぃ……」
「俺はお前と再開することができて、とても嬉しく思っている。この面はな、今借りているモノだ」
「借りている…?」
「何れ、元の二つの面に戻るぞ?」
「私を…憂く思った訳、では無いんですか…?」
「ケヒッ本当に愛いな、お前は。
俺がお前を憂く思ったことがある訳がないだろう。
.
前にも先にも、俺が愛すのはお前だけだ」
1647人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うゆに塩湖(プロフ) - あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします! (2023年1月1日 18時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 箱さん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます! (2022年12月7日 19時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2022年12月7日 18時) (レス) @page44 id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 言い訳−宿儺って死後に呪いなったの今気づきました。…でもいいよね、夢小説だし……。ね?ね?? (2022年11月27日 22時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - Ashleyさん» コメントありがとうございます。ワクワクしながら読んで下さることが、本望です。更新頑張ります! (2022年8月31日 12時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うゆに塩湖 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2022年4月10日 16時