二 ページ4
宿儺side
最近茶屋に通っている。
この俺が、だ。
以前なら術師を見つけては殺して喰っていた。
だが、非術師の小娘は喰っていない。
何故か。
それは俺にも分からない。
一度娘を殺そうとした、細い首を絞めたあの日。
他の人間とは違うものを宿している眼を見たあの日。
自分の腹の中から、心臓から、身体から何かが込み上げてきて殺すのを辞めた。
この娘は殺してはいけないと本能から警鐘を鳴らしている、そう悟った。
この呪いの王の俺に自制をさせた。
小娘を監視するついでに茶屋に行ってみようか、と気が向いた。
話して情報を得ようとも思った。
しかし今ではそんなこと微塵も思わず、ただ小娘と話す為だけに通っているような気がしてならない。
この小娘はよく表情を変える。
俺が来た時は笑って、
話している時には真剣に話を聞いて、
感想を求めれば泣いたり、笑ったり、怒ったりする。
そんな日々が楽しいと思っている自分がいる。
いつからだろうか。
術師を殺している間にも小娘のことを考える様になったのは。
「宿儺さん!聞いてますか?」
心の中で深く考え過ぎていたのか、Aが話していることが耳に入っていなかった。
「肉は?」
「置いてますよ」
「そうか」
「今日の宿儺さん、何かおかしくないですか?」
「何がだ」
「いつもは話してて何か言ったりしてくださるのに、今日は相槌一つ無いんですもん。何か寂しくなります…」
「そうかそうか。この俺と話すのが楽しいか」
「なっ!そうは言ってませんから!」
少し顔が赤くなるA。
それにつられて口角が上がる。
いつからだろうか。
この娘の一挙一動に心の臓が躍らされる様になったのは。
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うゆに塩湖(プロフ) - あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします! (2023年1月1日 18時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 箱さん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます! (2022年12月7日 19時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2022年12月7日 18時) (レス) @page44 id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - 言い訳−宿儺って死後に呪いなったの今気づきました。…でもいいよね、夢小説だし……。ね?ね?? (2022年11月27日 22時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
うゆに塩湖(プロフ) - Ashleyさん» コメントありがとうございます。ワクワクしながら読んで下さることが、本望です。更新頑張ります! (2022年8月31日 12時) (レス) id: 438eeb11ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うゆに塩湖 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時:2022年4月10日 16時