宿儺が愛した女性【呪術廻戦】

一 ページ3

Aside

私の家、つまりお茶屋は郊外にある。
京の都から離れたところ。
遠く、足場の悪いところを通らなければつかない為、お客さんはそう多くないし、常連さんも少ない。

そんな場所の中、最近茶屋によくいらっしゃってくれるお客さんがいる。
宿儺さんだ。
この近くの山に住んでいるらしく、よくいらしてくれる。

最初に顔やら腕やらの刺青を見たときは驚いた。

今でも覚えてる。
それに驚いてお盆を落としてしまって、謝ったのに首を黙って絞められた。
死んだのかと思った。
お父さんとお母さんが来て、青ざめながら説得してくれた。
「次はないぞ」っていわれたけど。

両親の偉大さをしったよね、うん。
今は都に帰ってしまったけれど。

次に来た時、話し相手になれと言われたから震えながら話を聞いてあげた。
でも、話してみるとちゃんとした人で。
ちゃんと話すし、ちゃんと怒る。
100歩………いや100000歩譲っていい人な気がした。

そろそろいらっしゃる頃なのだけれど………
首を左右に振って歩いていないか確かめる。

「A来たぞ」
「うっ、宿儺さん、いらっしゃいませ！どうぞお掛けください」

後ろから不意にかけられ、心臓が跳ねる。

「可愛げの無い声だな」
「ご注文は？」
「聞かなくても分かるだろう。それと今日も話を聞け」
「承知してますよ」

宿儺さんは、兎の肉を所望される。
捕まえて処理するのも大変なのに、なんでわざわざ出すのかは聞かないで欲しい。



怖いんだもんあの人。

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