宿儺が愛した女性【呪術廻戦】

十四 ページ16

No side


杉沢第三高校＿＿＿＿＿屋上




空には、不気味に満月が掛かっている。
その下に、



呪霊に捕まる1人の男＿＿虎杖悠仁。
頭から血を流して、それを見上げる1人の男＿＿＿伏黒恵。

呪霊の狙いは、虎杖の持っている両面宿儺の指。

呪霊は今にも虎杖ごと喰おうと歯を剥いていて、虎杖は自分の手より大きい歯の上に仁王立ちし、喰われるか喰われないか既のところで何とか留まっている。



「………あるじゃん、みんな助かる方法」


状況に合わない落ち着いた声が、響きわたる。


「………俺にジュリョクがあればいいんだろ？」



「お前………まさか………！」


伏黒が焦った声を出す。
虎杖はポケットから指を取り出し、空に高く放り投げた。


「馬鹿、やめ＿＿＿」


大きな口を開けて、飲み込んだ。



＿＿＿特級呪物だぞ？！猛毒だ！確実に死ぬ！







目を見開き、絶句する伏黒。
アイツは死ぬ、と思っていても心の奥底では微かな希望を抱いていて、





＿＿＿＿だが、万が一、








指を喰った虎杖の元へ、呪霊が襲いかかる。
虎杖が腕を振り上げると同時に、呪霊は一瞬にして消え去った。



その光景を見て、ガタガタと震え出す伏黒。





＿＿＿最悪だ、









＿＿最悪の万が一が出た……


















＿＿＿＿特級呪物が、受肉しやがった！













「ｹﾋｯ」

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