宿儺が愛した女性【呪術廻戦】

十 ページ12

宿儺side

物事がゆっくりと動いているように感じる。
四方から迫る術式。
逃げ場を失い、遠目に横たわるAが見える。



＿＿＿＿そうか、俺は負けたのか。



そう悟る。
大人しく封印されよう。
柄にも無いことを思い、笑いが溢れる。


もう二度とこの青空を眺めることが出来ない。
出来ることなら、最期にAと、この空を見ながら、笑い合いながら死んで逝きたかった。

完全に視界が閉ざされる前、微かな隙間から簪をAへ投げた。
精一杯の俺の呪力を込めて。








＿＿＿封印される事は、良かったのか……？













あと何百年、何千年後、運良く俺の封印が解かれる時、Aと再開出来るように。


……俺は自分で思っていたよりも遥かにAを愛していた。

人が死んで、是程怒ったのは初めての事だった。

初めて愛した者を殺され、挙句の果てに封印される。

滑稽ではないか。

来世では今世よりも倍、Aを愛そう。



そして、Aを殺した術師に復讐してやろう。












視界が暗転し、何も感じなくなる。
これが封印されたということか……






仕方ない……
特にやることも無いな………







昼寝でもしていようか……………







俺は、数千年という長い年月の昼寝に就いた。

十一→←九

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す