リザレクの決意 ページ33
四体の真っ黒な女性騎士が現れ、俺達を次々と切り散らしていくのだ。唸り声などが周囲を満たし、俺達から見ればまさに阿鼻叫喚だ。しかし、俺達の中にも仮想世界ならトップを張れる程の実力者だっているのだ。勿論俺もその一人。
「はぁあ!」
鞭をうねらせ、グルングルンという音と共に俺達は更に蹴散らされていく。その中で、見覚えのある名前を持つ男性が前に出た。この男性プレイヤー。アルヴヘイムでトップを張るレベルの人だ。
《片手剣ソードスキル ソニックリープ》
その男性プレイヤーは、剣を右手に持って切りかかっていった。
「へえ、この中にも強そうな奴がいたんだ。エルドリエ!こいつは私がやる。」
「分かりました。」
「いくよっ!」
私は暗斬剣を持ち、相手の動きを見定めた。あれは恐らく、飛翔斬だ。ならばその一撃を受け流し攻撃に転じる!
《セルルト流奥義 輪渦》
銀色に光る相手の剣は、私の漆黒に飲み込まれた。好きだらけの相手の脇腹に向け、勢いをつけ一閃!私の闇は敵を切り裂き、橙の粒子に変えた。
「斬られたい奴は前に出てきなさい!いくらでも相手してあげる!」
私の声と呼応するように、黒光りした剣は空を切り裂いた。
「ワールドエンドオールター迄はまだまだだけど…飛竜にもそろそろ限界が来てるわ。あそこの影で休みましょう。」
かなり長い間飛行していた。イーディスとエルドリエがいなくなったからどれくらい経っただろう。飛竜達は、無事着陸したが疲労を隠せない。
「リザレクもちゃんと休みなよ。」
「ありがとう、ユージオ。そういえばだけど、見ない間に新しい剣を腰に付けてるのね。名前は?」
「名前は赤薔薇の剣。優先度は大体青薔薇の剣と同じかな…まだ実戦で使ったこともなくて。」
ユージオが持つ翡翠色の瞳には、真紅の華やかな光が映り込んでいる。優しく柄を撫でる様子からは、最近手に入れたものとは思えないほどの愛情が感じられる。でも、何か、この赤薔薇の剣からは悲しいものが感じられる。特に悪い予感などではないのだが、何故か胸が苦しくなる。
「その剣、どうやって手に入れたの?」
「心意で作りだしたものなんです…見つけてはなくて。」
照れ臭そうに笑うユージオだが、そんなことよりこれほどの武器を心意で作り出せるというユージオは一体何者なのだろう。そんな考えが頭をよぎる。正直今の私ですら勝てるかどうか分からない。それほどの戦闘力があれば託せる。全て話そう。知る事を。
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作成日時:2019年11月23日 12時