三本の剣 ページ22
「今そこにいる愚かな剣士ども、よく聞け!私はノーランガルス修剣学院卒業生、ソルティリーナ・セルルト!」
「同じく、ゴルゴロッソ・バルトー。」
「同じく。ウォロ・リーバンテイン!」
頼もしい先輩三人の背中は、なにやら直視し難い光を発しているようにすら見える。
「私達が此処に有る限り、貴様らの愚行は全て止める!」
その勇ましい姿と共に、三本の剣は光を帯び始めた。麗しい構えで敵の剣士をしっかりと見据えるソルティリーナ。やがて、暗黒界側の一人の剣士が剣を振った。あの型。恐らくバーチカルだ。この世界では雷閃斬と呼ばれているそうだが、あいつらが喋っているのは英語。ということは、リアルのアカウントをコンバートしてダイブしていると考えるのが自然だろう。
「slash!」
そう言って、一人の剣士はゴルゴロッソに向かって剣を振り下ろした。ゴルゴロッソは動かない。本当に切られてしまうとすら思ったその刹那。
《バルティオ流 片手剣奥義 逆浪》
振り下ろされた剣はするりと受け流され、その隙にゴルゴロッソは恐ろしいほどの力強さで一撃を叩き込んだ。予想の遥か上をいく痛みと共に、逆浪を喰らった相手の剣士はこの世界からログアウトした。そして一秒の間すら与えず。
《ハイ・ノルキア流 片手剣奥義 天山烈波》
赤い光を纏った一本の剣が、四人の剣士を一瞬にして斬り割いた。
「後ろ、任せるぞ。」
「もとよりそのつもりだ!」
《セルルト流 片手剣奥義 輪渦》
一人の剣士の剣を自分の剣で受け流し、その勢いをさらに加速させつつ回転して一閃。
「ここからは何人も通さん!」
天山烈波の赤。逆浪の緑。そして、輪渦の青。三色の閃きは、これまでにないほどに頼もしく、そして力強かった。数々の暗黒剣士は蹴散らされていく。
「さあ、お二人共。早く下がってください。キリト、また会おう。」
リーナ先輩の一言に背中押されるように、俺とアリスは後ろの部隊に向かって歩き出した。
僕の名前を呼ぶ声が聞こえる。意識は虚ろで、身体中の節々に軽い痛みを感じる。闇の中にあった僕の視界が、徐々に光を反射し始めていく。
「ユージオ先輩…!」
朧げな視界に飛び込んできたのは、綺麗な長い赤髪だった。
「ティー…ゼ…?」
「はい…!」
「そっか…ティーゼが助けてくれたんだね。」
意識を失ってしまった僕を救ってくれたのは恐らくティーゼなのだろう。そんな思考をいきなり吹き飛ばされたのは、突然の轟音のせいだった。
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作成日時:2019年11月23日 12時