三日目 左翼前方部隊 ページ18
三日目朝。各部隊配属位置に着き、ダークテリトリーの侵攻を待つ。
「ユージオ。」
「何だい、キリト。」
少し眠気が残る、あやふやした口調でユージオは言葉を返した。
「まだ寝足りないのか？」
「まあね。こんなに戦闘続きも初めてのことだし。キリトは逆に疲れてないの？」
「こんなのまだまだ疲れたなんかに入らないぜ！と言いたいところだけど…正直俺も疲れてきてるよ。そうだ、ユージオに話したい事があったんだ。」
「何？」
「昨日もだけど、ユージオがイメー…想像した通りに未来が動いたことってないか？」
「想像した通りに…。」
この二日の戦闘を、ユージオは脳内で駆け巡る。その中で、ユージオは一つの心当たりがあった。
「ゴブリンの持っている剣が吹き飛ぶイメージをしたり…自分の剣技が四連撃以上の剣技を使ってる所を想像したりすると、本当に出来たことはあるよ。昨日は特にずっとそうだったと思う。」
「やっぱりか…。ここで戦っている時に、たまにユージオの青薔薇の剣が違って見える時があるから、そうなんじゃないかと思って。」
「どういうこと？」
「精神から出ずる力…心意。これについて、昨日の夜リザレクに教えてもらってたんだ。想像力だけじゃなく、元々の技量とか色々複雑に絡み合ってやっと使えるものらしいんだ。ユージオが使ってる心意は、心意の腕ってものだと思う。」
「しんいのかいな…。そうだ、キリト。青薔薇が違って見えるって、どういう風に見えるの？」
「青薔薇の剣の刀身とか…全部が…赤に染まって見えるんだ。」
「赤…？」
「あぁ。たまになんだけどな。ユージオの青薔薇に赤くなってて、なんか言葉に表し辛いんだけど…とにかく綺麗なんだ。だからさ。想像してみてほしいんだ。」
「分かった。青薔薇の剣が、赤く見えるんだね？」
「そうだよ。難しそうだったらすぐに言ってくれ、ユージオ。」
僕はキリトの方を向いて、軽く頷く。
シュッ
青薔薇の剣を鞘からゆっくりと抜いて、地に突き刺す。地面にしっかりと固定された青薔薇の柄に手を重ね、青が真紅に染まる所を想像した。
赤薔薇の剣…
目をつぶって、僕は青が染められ続けるところを想像し続けた。すると。眼前が、赤く瞬いた。
「ユージオ、これ！」
「うん…！」
青薔薇の剣の真上に赤き閃光が周囲に迸る。いつしか、その閃きは周囲の空気を凍てつかせていく。それらはどんどん形を成していき––––。
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作成日時：2019年11月23日 12時
