53話 ページ9
中森警部は辺りを見回してから、ひそひそ喋り始める。
「アンタから見てどうだ?この警備」
「……え?」
思わず聞き返してしまった。
いくら私が探偵でも、一般人に警備について聞くなんて……何考えているんだ、この人
彼はそれを察したのか、苦笑いをしながら頭を掻いた。
「いや、一般人に何聞いてんだと思ってるんだろうが、ワシらが考えたモノはことごとく奴に突破されていてだな」
「あ、だから第三者の意見を聞いてみようと、そう言う……」
「あぁ、その通りだ……で、どうだ?」
ふむ
言われて、辺りを見回す。
警備をしている人とお客さんを合わせたら、かなりの人数になる。
警備がどうと聞かれてもねぇ……人が多すぎて何とも言えないんだよなぁ
どう答えようかと顔を上げた時──
満月が視界に入った
「……窓。防犯シャッターとか降りませんか?」
「あ?あぁ、窓か……おい、どうだ?」
中森警部が後ろの方へ声をかけた。
その直後に人の中から、館長らしき人が顔を覗かせる。
「あ、はい。降ります」
「じゃ、降ろしちゃいましょう。キッドは窓から逃走するかもしれないですよね?」
にこりと笑いながら指を上に向けて、天窓を指差した。
「そ、そうですね。そうします」
彼は慌ててポケットから携帯端末を取り出し、どこかへ電話をかけた。
それからすぐに機械音がして、窓にシャッターが下ろされる。
「こうすれば、キッドは地上からしか出られませんよね」
「おぉ、そうだな!さすがワシが見込んだだけの事はある!」
「い゙っ!あ、あはは……恐縮です」
バシバシと私の背中を叩いてから、今夜こそ捕まえるぞー!と意気込んで、拳を掲げる中森警部。
警備の人達も、おぉー!!と拳を掲げた。
彼らが一致団結している間に離れて、もう一度館内を見て回る。
お客さんはキッドが来るであろう、宝石が展示してある部屋に集中しているため、他の展示室は比較的空いていた。
何か仕込まれてたりしてないか?と注意深く見てみるが、特になさそうだ
一通り見終わり、時計を確認する。
20:15……予告の5分前だ、宝石がある展示室に戻るか。
宝石のある展示室は人で溢れ、キッドコールが響いていた。うわ、うるっせ……
顔をしかめつつ、中へと進んで行く。
予告時間1分前になって、ようやく宝石の近くまで来れた。
さて、窓は塞いだ。人も多く走り去るのは困難。
この場にいる人数も全て覚えた
さぁ、この状況でどうする?
時計を見つめ、私は目を閉じた
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糸目らぶ - 続き気になります、いつか更新されるのを楽しみにしてます。面白い! (2021年3月5日 17時) (レス) id: a7df1b26d8 (このIDを非表示/違反報告)
恋花雪(プロフ) - 初コメ失礼します!続きがとても気になる小説ですね…!いつまでも更新全裸待機してます! (2020年11月23日 18時) (レス) id: 1308cc484f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年4月29日 17時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
小説ワンコ(プロフ) - とても面白いです。更新頑張ってください。 (2019年8月14日 15時) (レス) id: 14f0588910 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 続き楽しみにしてますこれからも頑張ってください!! (2019年5月15日 17時) (レス) id: 9d28606b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮野 | 作成日時:2018年5月22日 23時