明けましたおめでとうございます、その3 ページ27
そう聞くと、彼はにこりと微笑んで頷いた。
「えぇ、せっかくですから。今年は良いことがありますようにってお願いしようかと思いまして」
照れ臭そうに頭を掻く昴さん。
へー……見た目良し頭も良し、性格も良し(?)な人でも良いことありますようにって願うモンなのね……
「去年は良いこと無かったんですか?」
疑問に思ったので、何気なく聞いてみる。彼は去年の出来事を思い出しているのだろう、少しだけ沈黙した後、口を開いた。
「……はい。去年は色々大変なことがありましたね。良いこともあるにはありましたが……それでも悪いことの方が多かった、ですかね」
困ったように笑いながらそう言う昴さん。
エッ、なんかごめ、ごめんなさい……
「嫌なこと思い出させちゃいましたかね……すみません」
コナン君が頭上にいるので頭を下げることは出来なかった。ので、軽く頭を動かす。
昴さんは慌てたように片手を振った。
「い、いえ、今では良い思い出になっているので大丈夫ですよ」
「そう言ってもらえるとありがたいです……今年は良いこと沢山あるといいですね」
彼に向かって笑顔でそう言うと、昴さんは今までで一番良い笑顔で
「ふふ、今年は早々に良いことがありましたよ」
などと言う。
へぇ、そうなのか。何だ?年明けでとびきり美味しい料理を作れたのか?あ、院生だから良いテーマでも思いついたのか……?
なんて考えていると、彼は笑顔のまま顔を近付けてきた。
思わず後ろに下がった──のだが、気付いたら左腕を捕まれていて、下がることは出来なかった。
そして、身構えた私の耳元まで顔を近付けて来て一言。
「だって年明け一番に、Aさんに会えたんです。僕にとってこれ以上の良いことなんて、ありませんよ」
「……ん?」
今何つった?゙私に会えたのが良いこどだっつった?この人??
聞き間違いかと昴さんを見つめるが、彼はにこにこ笑ったままだ。……聞き間違いではないらしい
こ、これはなんて返せば正解なんだ?
混乱する頭を整理して絞り出した言葉は
「……私も昴さんに会えて嬉しいですよ。新年に二番目に良いことですけどね!」
だった。
それを聞いた昴さんは一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに苦笑いへと変わった。
「……Aさんは上げて落とすのが上手ですね」
「あはは、そうですかねー?所でコナン君や。電話は繋がったかい?」
昴さんとの会話を切り上げ、顔を上げてコナン君にそう聞く。
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糸目らぶ - 続き気になります、いつか更新されるのを楽しみにしてます。面白い! (2021年3月5日 17時) (レス) id: a7df1b26d8 (このIDを非表示/違反報告)
恋花雪(プロフ) - 初コメ失礼します!続きがとても気になる小説ですね…!いつまでも更新全裸待機してます! (2020年11月23日 18時) (レス) id: 1308cc484f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか? (2020年4月29日 17時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
小説ワンコ(プロフ) - とても面白いです。更新頑張ってください。 (2019年8月14日 15時) (レス) id: 14f0588910 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 続き楽しみにしてますこれからも頑張ってください!! (2019年5月15日 17時) (レス) id: 9d28606b1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宮野 | 作成日時:2018年5月22日 23時