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目の前で座るこの男に対してもう思うことは何もなかった。昨日までの自分は随分甘かったと思う。初めての彼氏だからとか、彼にだっていいところはあるだとか、そんなことを考えていたけれど目の前で気味悪い顔で口角を上げてこちらを見る駿に対して、もう何も思うことはなかった。
この広い倉庫内には私と彼しかいなかった。彼の暴走族の仲間たちがいたらどうしようと少し怯んでいたがそれはないようで少しだけホッとする。けれどきっとこの人はまた私に暴力を振るうだろう。そう思うと、途端に足は動かなくなる。…だけど、負けるな、負けちゃダメだ。心を奮い立たせて一歩一歩と駿に近づいた。
「…ずるいよ、三ツ谷くんの名前使って私を呼び出すなんて」
「ハハッ!やっぱり三ツ谷を使ったのは正解だった。俺が呼び出したってお前は来ないだろ?」
「そんなことない。三ツ谷くんが呼び出したなんて思ってない。駿だって思ったから来た」
そういえば駿は面白そうに「へぇ」と口角をまたあげた。
「言っとくけど俺はお前と別れる気なんかねーから」
「…………」
「今なら許してやるよ。泣いて謝れば全部水に流してやる」
「っなんで、私が謝らなきゃいけないの?私が駿に何したっていうのよ」
「お前が俺をコケにして、三ツ谷なんかと一緒にいたのが悪いんだろ。あげく
「違うよ!三ツ谷くんとは何もないよ!ただの同級生だって言ってんじゃん!勝手に決めつけないで!」
「…知ってんだよ。お前が昨日三ツ谷の家にいたことなんて。それで何もない?笑わせんなよ」
「っ!それは!…ていうかどうしてそれを!」
「ん?どうして?下の奴らにお前のこと付けさせてたから」
にっこり笑ってそう言う駿に、冷や汗が流れる。何でこの人はそんなことをするんだろう。どうしてここまで私に執着するのか全く見当もつかなかった。
「…私は、謝らない。絶対に、謝らない」
私は彼の目をジッと睨んでそう言った。この人は大きな勘違いをしてる。確かに私と三ツ谷くんは一時二人で過ごしていた時間は長かった。それに対して不快に思ってるならそれはちゃんと謝る。けれど私たちがどうだとか勝手に勘違いしてるなら話は別だ。三ツ谷くんはただの同級生、いいお友達。だから駿に謝らなきゃいけないことなんて1つもない。勝手に勘違いしてるのは駿なのに私が謝るなんて絶対おかしい。
謝るわけにはいかなかった。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました!他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です! (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年8月2日 2時