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男が女に「会いたい」と言う。それだけ聞いたら何てロマンチックな恋物語なんだろうと思う。それは完全にどこからどう見ても愛の囁きだ。
けれど私と彼じゃその恋物語の主人公にもその相手役にもマッチしない。私達にそんな物語はきっと生まれない。だって私は彼を"好き"ではない。彼も違うだろう。この人が私に愛を囁くことなんて、空からハンバーグが降るくらいありえないことだと思う。
「…空からハンバーグって、もうちょっと色気のある例え方はできないわけ？」
「いや、さっき残してしまったハンバーグに未練が……って、え、嘘！？エスパー！？」
「なわけあるか。漏れてんだよ、口から」
まさかの頭の中で考えてたことを佐野に突っ込まれてしまって慌てふためく。佐野は呆れたような顔をして、「とりあえず行くよ」そう言って私の手を取り歩き始めた。さっきとは違い荒々しい手の取り方ではない。多分これは手を繋いでいると言う方が表現的には正しい。ぎゅっと握られた佐野の体温は熱かった。
「…佐野」
「ん？」
「手繋がなくても歩けるよ」
「うん」
「…だから、離して大丈夫だよ？」
「うん」
「…ねぇ、聞いてんの？」
「聞いてない」
「聞いてないんかい！」
話しかけても適当な返事しか返ってこなくて私も諦めてしばらく話しかけるのはやめた。結局、何故私を知っているかも、今日私を誘った理由も、これからも会いたいという理由も全てはぐらかされ、聞きたいことの一つも聞けなかった。収穫したのは、佐野と私は以前どこかで会っている。そしてこいつはこれからも私とこうして会いたいらしいということだけだった。
「…あのーそろそろ私の質問に答えてくれる気になってもいいんじゃないですか」
「…お前質問多いんだもん」
「それは佐野が何考えてるかわからないからじゃん」
「何？そんなに知りたいことがあんの？」
「うん」
「……まあ、一応聞くだけ聞いてやる。答えるかは別として」
「いや聞くなら答えろよ」
「内容にもよるだろ。オレが答える必要ないと思ったもんは答えない」
「…何で上から目線なのかが気になるけど、まーいいや。まず1つ目、」
「え、何個あんの？」
「……10個くらい」
「多い。却下」
「じゃ、じゃあ2,3個だけ」
「あーもうめんどせーなお前。なんだよ」
お前もさっきから十分面倒くさいよ。はぐらかさないでさっさと答えろよ。と思ったけどその言葉を言えばまた言い合いになってしまう。無理矢理飲み込んだ。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます！変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました！他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (
レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です！ (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柴咲華 | 作成日時：2021年8月2日 2時
