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「…そんな大食い女全然可愛くねぇぞ」
「別に佐野に可愛いって思われたくないし、事実可愛くないもん」
「さっき言ったじゃん、食ってるときは可愛いって」
「聞こえません。佐野の言うことは間に受けません」
「…あっそ。別にオレはそれでもいいけど。あっ、そのハンバーグ1口ちょうだい」
「は?やだよ。食べたいなら頼みなよ」
「お前が食ってんの見てたら1口だけ食いたくなったんだ!」
「これは私が注文したものなので諦めてください」
「…(パクッ)」
「あー!!!それ!残してあった私のハッシュドポテト!」
最後に食べようと大事に大事にとっておいたハンバーグの備え付けのハッシュドポテトは勝手に口に放り込んだ佐野のせいで私の前から消え去った。
…食べた。食べやがった。一番楽しみにしてたのに!
「ちょっと!私のハッシュドポテト返して!」
「へふにいいひゃん。ほっひにへふのひほはあふんははら」
「は?なんて?」
「(モグモグ、ごっくん)…別にいいじゃん。そっちに別の芋があるんだから」
「別の芋って…!フライドポテトとハッシュドポテトは芋は芋でも全然違うのよ!私がなんのためにフライドポテトを別注文したと思ってるの!」
「食べたかったからだろ?」
「わかってんじゃん!両方の芋を食べたかったから頼んだのに!それをあんたは勝手にっ!どれだけ私が楽しみにしてたと思って、」
「ふざけんじゃねーぞコラァア!」
奪われた芋を巡ってそんな言い合いをしている時、突然店内に怒鳴り声が響き渡った。
「うるせーな。なんだ?」
言い合いをしていた私たちは一瞬顔を見合わせてポカンと固まった。興味なさそうな顔をしながら私の後方に視線をやる佐野に釣られるように私も声の元を振り返ってみる。
「(……あ)」
そこには先程お子様ランチの注文を取ってくれた店員さんと、見た目とっても厳ついお兄さんがいた。
「てめぇどこ見て歩いてんだ!?」
「も、申し訳ございません!!ク、クリーニング代を!」
「てめぇ…"お客様"の服汚しておいてクリーニング代だけで済むと思ってんのか!?あぁ!?」
昼時のガヤガヤと賑わった店内は彼の怒鳴り声で一瞬にして静まり返った。涙声で必死に謝る店員さんに対しお兄さんは荒い口調で彼女に詰め寄った。彼らの足元には黒い液体が床に散らばり近くにはマグカップが転がっている。そしてお兄さんの着ているシャツも黒い何かが滲んで汚れていた。それを見て今の状況を理解した。
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knnk99(プロフ) - 麗さん» 麗様 ご指摘ありがとうございます!変換ミスしていましたね…読みづらく申し訳ございません。修正させていただきました!他も確認次第修正していきます。こんな小説にもったいないお言葉本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: d08a794dcd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 6ページなのですが、無償に ではなく 無性に ではないかなと、、、 余談ですが、お話好きなので完結まで着いていく所存です! (2021年8月2日 18時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年8月2日 2時